真夏の暑さにも負けずに次々と花を咲かせるニチニチソウ。その育て方、特に元気な株に欠かせない摘心の方法について、詳しく知りたいと思っていませんか?
この記事では、ニチニチソウの栽培で失敗や後悔をしないために、種まきから始める基本的な育て方はもちろん、プランターでの育て方や鉢植えでの管理ポイントを解説します。
さらに、花数を増やすための鍵となる摘心の時期や摘心の場所、成長後の剪定や切り戻しはいつまで行うべきか、といったお手入れのコツも網羅。切り戻しをした茎を活用した挿し木での増やし方や、寒さが苦手なニチニチソウの冬越しは外でできるのか、という疑問にもお答えします。
このガイドを読めば、あなたもニチニチソウ栽培の達人になれるはずです。
この記事のポイント
- ニチニチソウの基本的な育て方と摘心のコツ
- 株を大きくし花数を増やす剪定や切り戻しの方法
- 挿し木での増やし方や冬越しのポイント
- 初心者でも失敗しないための注意点
ニチニチソウの育て方と摘心の基本とは?

園芸の教科書・イメージ
真夏の炎天下でも次々と美しい花を咲かせるニチニチソウは、その丈夫さからガーデニング初心者にも大変人気があります。
原産地がマダガスカルなどの暖かい地域であるため日本の夏の暑さや多湿にも強く、5月から11月頃までと非常に長い期間、私たちの目を楽しませてくれます。栽培は種からでも手軽に始めることができ、プランターや鉢植えでも管理がしやすいのが魅力です。
そして、より多くの花を咲かせ、株全体をこんもりと美しい形に育てるために欠かせない作業が摘心(てきしん)です。適切な時期に正しい場所で摘心を行うことで、脇芽の成長が促され、見違えるほど豊かな株になります。
前半では、ニチニチソウの育て方の第一歩となる基本から、効果的な摘心の方法までを丁寧に解説していきます。
- 種まきから始めるニチニチソウ栽培
- プランターでの育て方のポイント
- 鉢植えで楽しむニチニチソウ
- 最適な摘心の時期はいつ?
- 失敗しない摘心の場所とコツ
種まきから始めるニチニチソウ栽培

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ニチニチソウの栽培を種から始める場合、成功の鍵は適切な時期と温度管理にあります。ニチニチソウの発芽に適した温度は20℃~25℃と高めなので、十分に暖かくなった5月から6月頃が種まきのベストシーズンです。
種まきの手順は、育苗トレーや小さなポットを使用するのがおすすめです。ニチニチソウは直根性(ちょっこんせい)といって、太い根がまっすぐ伸びる性質があり、植え替えを嫌います。このため、初めからポットに2~3粒ずつまき、後から間引く方法が根を傷めにくく、その後の生育もスムーズになります。
ここで重要なのが、ニチニチソウは嫌光性(けんこうせい)種子であるという点です。
これは光が当たると発芽しにくくなる性質のことで、種をまいたら必ず5mmほどの厚さで土をかぶせて光を遮断してください。覆土が薄いと発芽しないことがあるため注意が必要です。発芽までの約10日間は、土を乾燥させないように管理しましょう。
種まきのポイント
・時期:気温が20℃~25℃になる5月~6月
・方法:植え替えを嫌うため、ポットに直接まく
・覆土:光を嫌うため、種が見えなくなる程度に土をしっかりかぶせる
本葉が2~3枚出てきたら、元気の良い苗を1本だけ残して他は間引きます。そして本葉が8~10枚程度に成長したら、いよいよプランターや花壇へ植え替えるタイミングです。
プランターでの育て方のポイント

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ニチニチソウはプランターで手軽に育てられるのが魅力ですが、いくつかの重要なポイントを押さえることで、病気のリスクを大幅に減らし、秋まで元気に花を咲かせ続けることができます。特に「日当たり」「風通し」「水の管理」の3点が、成功を左右するカギとなります。
まず設置場所ですが、ニチニチソウは日光を非常に好む植物です。
光合成を活発に行い、たくさんの花を咲かせるエネルギーを作るため、少なくとも1日に5~6時間は直射日光が当たる場所を選びましょう。ただし、真夏の午後にコンクリートの照り返しが厳しい場所では、葉が焼けてしまうこともあります。
そのような場合は、午後は明るい日陰になる場所に移動させると株への負担を軽減できます。また、風通しの確保も同じく重要で、空気がよどむ場所に置くと湿気がこもり、うどんこ病や灰色かび病といった病気が発生しやすくなるため注意が必要です。
次に、栽培の土台となる土の準備です。最も手軽なのは、市販されている草花用の培養土を利用することでしょう。これらはニチニチソウが必要とする水はけの良さや、初期生育に必要な肥料分がバランス良く配合されているため、初心者の方でも安心して使えます。
もしご自身で土を配合する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合を基本に、さらに水はけを向上させるパーライトや軽石を1割ほど加えるのもおすすめです。
ポイント
プランターで以前に何か植物を育てた古い土をそのまま使うと、連作障害の原因となる病原菌や害虫の卵が残っている可能性があります。特にニチニチソウがかかりやすい立ち枯れ病は土壌伝染性の病気なので、必ず新しい清潔な土で植え付けを始めてください。
植え付けの際には、株の間隔を適切にあけることが、後の成長に大きく影響します。一般的な650型プランター(幅65cm)であれば、3株から最大4株程度が目安です。
植え付けた直後はスカスカに見えるかもしれませんが、成長すると葉が茂り合うため、これくらいの間隔が風通しを保つために必要になります。過密に植えると、株元が蒸れて立ち枯れ病のリスクが高まるだけでなく、日照不足で下葉が枯れ上がる原因にもなります。
また、見落としがちですが効果的なのが「泥はね」対策です。雨が降った際や水やりの際に、土が跳ねて葉や茎の低い部分に付着すると、そこから病原菌が侵入することがあります。
これを防ぐために、プランターをレンガやポットフィートの上に乗せて地面から高さを出す工夫をしましょう。株元の土をバークチップなどで覆うマルチングも、泥はね防止と土の乾燥抑制に役立ちます。
ポイント
ニチニチソウは乾燥に強い反面、過湿を極端に嫌います。常に土が湿っている状態は、根が呼吸できずに弱り、根腐れや立ち枯れ病を招く最大の原因です。水やりは必ず土の表面を手で触ってみて、乾いていることを確認してから行いましょう。与える際は、プランターの底から水が流れ出てくるまで、たっぷりと与えてください。このメリハリが、丈夫な根を育てます。特に梅雨の時期は、数日間水やりが不要なこともありますので、土の状態をよく観察することが大切です。
最後に肥料についてです。ニチニチソウは開花期間が非常に長く、次々と花を咲かせるため多くの養分を必要とします。植え付け時には、効果が長く続く緩効性の化成肥料(マグァンプKなど)を元肥として土に混ぜ込んでおきましょう。
さらに、株が成長して花が咲き始めたら、液体肥料を1週間に1回程度のペースで与える追肥が効果的です。これにより、シーズンを通して肥料切れを起こすことなく、たくさんの花を楽しむことができます。

鉢植えで楽しむには?

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鉢植えでの育て方も、基本的なポイントはプランター栽培と同じです。日当たり、水はけ、風通しを重視することが元気に育てるコツとなります。
鉢のサイズ選びが重要で、購入した苗の大きさに対して大きすぎる鉢を選ぶと、土がなかなか乾かずに過湿の原因となることがあります。一般的には、3号ポット(直径9cm)の苗なら、5号~6号(直径15cm~18cm)の鉢が適切です。品種によっては大きく育つものもあるため、最終的に10号鉢に1株植えが目安となるブランド苗もあります。
植え付けの際は、ポットから苗を取り出したら根鉢を崩さずにそのまま植え付けます。前述の通り、ニチニチソウは直根性で移植を嫌うため、根をほぐしたり傷つけたりすると、その後の成長が悪くなることがあるからです。鉢底には鉢底石を敷いて、水はけをさらに良くしておきましょう。

また、肥料は開花期に多くのエネルギーを使うため、定期的に与える必要があります。水やりの際に与える液体肥料は、規定よりも少し薄めにして頻度を上げて与えると、肥料過多による根の傷みを防げます。
摘心の最適な時期はいつ?

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ニチニチソウの株を健康的でボリュームのある姿に育て、たくさんの花を咲かせるために不可欠な作業が「摘心(てきしん)」です。
この一手間を適切なタイミングで行うかどうかが、その後の花の数や株の形を大きく左右します。結論から言うと、摘心のタイミングはカレンダーの日付ではなく、苗の成長段階で見極めることが何よりも重要になります。
最初の摘心に最も適した時期は、購入した苗を植え付けてから1~2週間が経過し、新しい環境に根がしっかりと馴染んだ後、本葉の数が8枚以上に増えた頃です。
なぜこのタイミングなのでしょうか。それは、本葉が8枚以上あるということは、光合成を十分に行えるだけの葉面積が確保され、同時に根も十分に張って、摘心という外科手術的なストレスから回復するための体力が備わったサインだからです。5月上旬に苗を植え付けた場合、多くは5月下旬から6月上旬ごろがこの時期に該当します。
ポイント
まだ本葉が数枚しかないような幼い苗の段階で摘心をしてしまうと、株全体の成長が著しく遅れることがあります。植物はまず根を張ることにエネルギーを集中させますが、その段階で地上部の成長を促すと、エネルギーのバランスが崩れて根張りが不十分になり、結果として貧弱な株になってしまうのです。
逆に、摘心のタイミングが遅すぎても問題が生じます。茎が太く硬く「木質化(もくしつか)」し始めると、ハサミを入れた後の回復が遅くなりがちです。また、硬くなった茎からは、勢いのある新しい脇芽が出にくくなる傾向があります。摘心は、あくまで植物の成長ホルモンが活発に働く柔らかい新芽のうちに行うのが最も効果的というわけです。

また、摘心は一度きりの作業ではありません。摘心後に伸びてきた脇芽がさらに成長し、花の勢いが落ち着いてきたり、全体の形が乱れてきたりしたら、2回目、3回目と行うことができます。
ただし、真夏の猛暑の時期は株が弱りやすいため、大きな剪定は避けたほうが無難です。梅雨明けや、暑さが和らぐ8月下旬以降が2回目以降のタイミングとしてはおすすめです。
ポイント
- 最初の摘心:植え付け後、株が根付いてから。本葉が8枚以上になったのが明確なサイン。
- 2回目以降:摘心後に伸びた脇芽がさらに伸び、花の数が減ってきたと感じたタイミングで随時行う。
- 最終リミット:秋の花を楽しむためには、気温が下がり始める前の8月中、遅くとも9月上旬までには終えるようにしましょう。
せっかく順調に伸びてきた芽を摘むのは、一見するともったいなく感じるかもしれません。しかし、この将来への投資とも言える一手間が、結果的に脇芽の数を2倍、4倍と増やし、こんもりと丸く、たくさんの花で覆われた見事な株姿へと導いてくれます。
ぜひ、適切なタイミングを見計らって挑戦してみてください。
失敗しない摘心の場所とコツとは?

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摘心は、ニチニチソウをただ育てるだけでなく、花の数を飛躍的に増やし、美しい株姿をデザインするための、最も効果的なテクニックの一つです。その成否を分けるのは、どこを、どのように切るかという具体的な場所にあります。ここでは、初心者の方でも失敗しないための、摘心の場所とコツを詳しく解説していきます。
前述の通り、植物には「頂芽優勢」という、一番てっぺんの芽が優先的に伸びようとする性質があります。このため、摘心をしないと一本の茎だけがひょろひょろと上に伸びてしまい、花も少なく寂しい印象の株になりがちです。
摘心は、この頂芽を取り除くことで頂芽優勢を打ち破り、それまで眠っていた脇芽を一斉に目覚めさせるスイッチの役割を果たします。結果として、一本だった茎が二本、二本が四本と分岐し、こんもりと密度の高い株に育つというわけです。
ポイント
摘心する場所の具体的な見つけ方
- まず、摘心したい茎の一番先端(成長点)を見つけます。
- そこから下に向かって、完全に開いた葉を数えていきます。
- 上から2~3節目(葉が2枚で1節)の、葉のすぐ上が最適なカット位置です。
- その位置で、清潔なハサミか指先で茎を摘み取ります。
なぜ葉のすぐ上で切るかというと、新しい脇芽はその葉の付け根から伸びてくるからです。茎を長く残しすぎると、その部分が枯れ込んで見栄えが悪くなることがあるため、節のギリギリでカットするのがポイントになります。
摘心に使う道具は、柔らかい新芽であれば指先で簡単に摘み取ることができます。しかし、より確実なのは、切れ味の良い園芸用のハサミや眉毛用の小さなハサミを使う方法です。ハサミを使うことで、茎の細胞を潰さずにきれいにカットでき、株へのダメージを最小限に抑えることができます。
道具の消毒は必ず行いましょう
ハサミを使いまわすと、他の植物についていた病原菌を切り口から感染させてしまう危険性があります。特にニチニチソウがかかりやすい立ち枯れ病は、一度発症すると回復が困難です。作業の前には必ず、ライターの火で軽く炙るか、アルコールを含んだウェットティッシュなどで刃先を拭き、消毒する習慣をつけましょう。
そして、摘心の最大のコツは、一本の茎だけでなく、株全体のバランスをイメージしながら行うことです。
複数の茎が伸びている場合は、すべての茎の高さを揃えるように摘心すると、全体が均一に成長し、美しいドーム状の草姿に仕上がります。もし茎によって成長に差がある場合は、短い方の茎が伸びてくるのを数日待ってから、一斉に同じ高さで摘心すると良いでしょう。

ここで、摘心とよく似た作業である「切り戻し」との違いを明確にしておきます。
摘心は、主に苗が若いうちに行い、これから伸びる脇芽の数を増やして株の骨格を作ることが目的です。一方、切り戻しは、成長期に伸びすぎて形が乱れた株を、草丈の半分程度まで大胆にカットして株全体を若返らせ、再び花を咲かせることを目的とします。
目的と行う時期、そしてカットする規模が異なると理解しておくと、管理がしやすくなります。
ニチニチソウの育て方と摘心後の管理は?

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基本的な育て方と摘心によって順調に成長を始めたニチニチソウを、秋まで長く美しく楽しむためには、その後の管理が重要になります。ニチニチソウは生育旺盛なため、特に梅雨や夏を越すと茎が伸びすぎて全体の形が乱れてしまうことがあります。
そんな時は剪定や切り戻しを行うことで、風通しを良くして病気を防ぎ、再びたくさんの花を咲かせることができます。また、切り戻した茎を使えば挿し木で株を増やす楽しみも。
さらに、本来は多年草であるニチニチソウですが、日本の寒さの中で「冬越し」をさせるには少しコツが必要です。ここでは、摘心後の株をさらに元気に保つための管理方法から、来年も花を楽しむための冬越しのポイントまでを解説します。
- 元気な株を保つための剪定方法
- 切り戻しはいつまでするべきか
- 切り戻しと挿し木で株を増やす
- ニチニチソウの冬越しは外で可能?
- ニチニチソウの育て方と摘心の総まとめ
元気な株を保つための剪定方法は?

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ニチニチソウの剪定は、主に伸びすぎて形が乱れた株姿を整え、風通しを良くする目的で行います。切り戻しとも呼ばれるこの作業は、株の健康を保ち、秋まで花を咲かせ続けるために非常に重要です。
剪定の基本的な考え方は、思い切って株全体をコンパクトにすることです。特に梅雨前や、夏の暑さが一段落した9月頃に行うと、株が蒸れるのを防ぎ、病気の発生を抑える効果が期待できます。剪定する際は、全体の草丈の2分の1から3分の1程度までバッサリと切り詰めてしまって問題ありません。花が咲いていても、ためらわずに切りましょう。
切る位置のポイントは、それぞれの茎に葉を数枚残すことです。葉の付け根から新しい脇芽が伸びてくるため、全ての葉を落としてしまうと、新しい芽が出ずに枯れてしまう可能性があります。清潔なハサミで、葉のすぐ上あたりを狙って切ると良いでしょう。
摘心・剪定・切り戻しの違いまとめ
項目 | 摘心 | 剪定・切り戻し |
---|---|---|
目的 | 脇芽を増やし、株を大きくする | 株姿を整え、風通しを良くし、若返らせる |
時期 | 苗の時期(本葉8枚以上) | 成長期(梅雨前、夏の終わりなど) |
方法 | 茎の先端の芽だけを摘む | 草丈の1/2~1/3まで大胆にカットする |
剪定後は一時的に花がなくなって寂しくなりますが、気温が高ければ2~3週間ほどで新しい芽が伸び、再びたくさんの花を咲かせてくれます。
切り戻しはいつまでにするべき?

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株の若返りと花つきの維持に効果的な切り戻しですが、この作業を行う時期には限界があります。基本的には、開花シーズンが終わる1か月前までに終えるのが理想的です。ニチニチソウの開花時期は主に5月~11月頃なので、遅くとも9月中には最後の切り戻しを済ませておきたいところです。
その理由は、切り戻し後に新しい芽が伸びて花を咲かせるまでには、ある程度の気温と時間が必要だからです。気温が下がってくる10月以降に切り戻しを行うと、新しい花が咲く前に冬の寒さが来てしまい、そのまま枯れてしまう可能性が高くなります。
切り戻しを行う時期の目安は以下の通りです。
ポイント
・梅雨入り前(5月~6月):夏場の蒸れ対策として、風通しを良くするために行う。
・夏の終わり(8月下旬~9月):夏の間に伸びすぎた株をリフレッシュさせ、秋の花を楽しむために行う。
夏の暖かい時期は生育が旺盛なので草丈の2分の1程度まで深く切り戻しても回復しますが、9月など涼しくなってきた時期は、3分の1程度にとどめるなど、少し軽めの切り戻しにすると株への負担が少なくなります。
切り戻しと挿し木で株を増やす

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切り戻しでカットした茎は、そのまま捨てずに挿し木(さしき)に利用することで、ニチニチソウの株を簡単に増やすことができます。お気に入りの花色を増やしたい場合に、ぜひ挑戦してみてください。
挿し木に適しているのは、元気で病気のない、少し硬さのある茎です。先端の柔らかすぎる部分や、木質化して硬くなった根元部分は避け、中間部分を10cmほどの長さにカットします。
このとき、先端についている葉を2~3枚残し、それ以外の下の葉は全て取り除きます。葉からの水分の蒸発を抑えるため、残した葉も半分ほどの大きさにカットしておくと成功率が上がります。
準備した茎(挿し穂)を、1時間ほど水に浸けて吸水させます。その後、挿し木用の清潔な土に挿し、土が乾かないように管理しながら、直射日光の当たらない明るい日陰で発根を待ちます。夏場であれば、約1ヶ月ほどで根が出て新しい芽が動き始めます。発根促進剤(メネデールなど)を使用すると、さらに成功しやすくなります。

ただし、登録品種(PVPマークが付いているもの)を営利目的で増殖することは法律で禁止されています。個人で楽しむ範囲に留めましょう。
ニチニチソウの冬越しは外で可能?

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ニチニチソウは本来、暖かい地域に自生する多年草(あるいは低木)ですが、寒さには非常に弱い性質を持っています。そのため、日本のほとんどの地域では冬の寒さに耐えられず、一年草として扱われるのが一般的です。
結論から言うと、霜が降りるような地域で外に置いたまま冬越しさせることは不可能に近いです。気温が10℃を下回ると生育が止まり始め、5℃以下になると枯れてしまう可能性が非常に高くなります。
もし冬越しに挑戦したい場合は、気温が10℃を下回る前に、鉢植えを室内の日当たりの良い暖かい場所に取り込む必要があります。地植えの場合は、秋のうちに掘り上げて鉢に移し替えておく必要がありますが、前述の通りニチニチソウは植え替えを嫌うため、成功率はあまり高くありません。
ポイント
室内での冬越し中は、生育が緩やかになるため、水やりは控えめにします。土の表面が乾いてから数日後に与える程度で十分です。過湿は根腐れの原因になります。また、肥料も冬の間は与える必要はありません。このように管理しても、日本の気候で冬越しさせるのは難易度が高いため、毎年新しい苗を購入するか、種を採って翌年まくのが確実な方法と言えるでしょう。
種の採取について
秋になり花が終わると、細長いサヤができます。このサヤが茶色く乾燥してきたら種が熟したサインです。サヤが弾ける前に採取し、来春まで冷暗所で保存しておきましょう。こぼれ種から自然に発芽することもあります。
ニチニチソウの育て方と摘心の総まとめ
この記事のまとめ
- ニチニチソウは夏の暑さや多湿に強く初心者におすすめ
- 日当たりと風通し、水はけの良い場所で育てるのが基本
- 種まきは気温が20℃以上になる5月~6月が適期
- 光を嫌う種子なので種まき後はしっかり土をかぶせる
- 水やりは土が乾いたらたっぷりと与え過湿を避ける
- 植え付けや植え替えの際は根鉢を崩さないように注意する
- 開花期間中は肥料を切らさないように追肥を行う
- 摘心は本葉が8枚以上になった頃に先端の芽を摘む作業
- 摘心により脇芽が増え花数が多くなり株がこんもりする
- 成長して形が乱れたら剪定(切り戻し)で草姿を整える
- 切り戻しは草丈の1/2~1/3程度まで思い切って行う
- 切り戻しは遅くとも9月中には終える
- 切り戻した茎は挿し木にして増やすことができる
- 寒さに非常に弱く日本の多くの地域では屋外での冬越しは困難
- 冬越しさせる場合は10℃以下になる前に室内の暖かい場所へ移動させる
ニチニチソウを元気に育て、たくさんの花を楽しむためには、いくつかの大切なポイントを理解しておくことが重要です。夏の暑さには強い植物ですが、過湿には弱いという性質を忘れないようにしましょう。
まず基本となるのは、日当たりと風通しの良い場所で、水はけの良い土を使って育てることです。水の与えすぎは根腐れや病気の原因になるため、土の表面がしっかりと乾いてからたっぷりと与えるのがコツになります。
そして、株をこんもりとさせ花数を増やすためには、本葉が8枚以上に増えたタイミングで行う摘心が欠かせません。また、成長して形が乱れてきたら、秋が来る前に剪定や切り戻しを行い、株の若返りを図りましょう。
この記事で紹介した育て方や摘心のコツを参考に、ぜひご家庭でのニチニチソウ栽培を成功させ、長く美しい花を楽しんでいただければ幸いです。