こんにちは。園芸の教科書運営者のめぐみです。
オクラの種まきに挑戦しようとしているけれど、失敗しないか不安に感じていませんか。特に、オクラの種まきの時期や、発芽に必要な気温について疑問を持つ方は多いですよね。
また、畑の土作りをどうすればいいのか、直まきやポット育苗のどちらを選ぶべきか迷うこともあるかもしれません。さらに、種をまいても発芽しないトラブルや、1箇所に何粒まくのが正解なのか、覆土の深さはどのくらいにすべきかといった具体的な悩みもよく耳にします。
種の向きは関係あるのか、事前に必要な浸水時間はどれくらいか、水につけすぎて種が腐ることはないかなどに関する気になるポイントはたくさんあるはずです。この記事では、そんな皆さんの疑問や不安を解消し、元気なオクラを育てるためのポイントを分かりやすく解説していきますね。
この記事のポイント
- オクラの発芽に最適な温度環境と種まきのタイミング
- 失敗を防ぐための土作りとプランター選びのコツ
- 発芽率を上げるための事前の種処理と正しいまき方
- 元気な苗を育てるための効果的な栽培管理方法
オクラ種まきで豊作を目指す!失敗しない事前準備

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オクラはアフリカ東北部を原産とする高温性の植物であり、日本の気候で栽培を成功させるには事前の環境作りと時期の見極めが重要です。
発芽には25〜30℃の生育適温と、15℃以上の最低気温および地温が欠かせません。早くまきすぎると地温不足で種が土の中で腐ってしまうリスクが高まるため、中間地では気温と地温が安定する5月下旬から6月中旬に種まきを行うことが推奨されます。
また、オクラの根は地中深くへ真っ直ぐに伸びる直根性を持つため、根の成長を妨げないよう水はけが良く肥沃な土壌環境を整える必要があります。プランター栽培では深型の容器を選択し、連作障害を避けるために過去にオクラを育てた土壌は使用しないなど、種をまく前の入念な準備が最終的な収量と品質を大きく左右します。
前半では、オクラが元気に育つための土作りやプランター選びなど、種まき前の必須知識を詳しく解説します。
種まきに適した時期は?

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オクラを育てる上で、その後の成長を決定づける一番大切と言っても過言ではないのが種をまくタイミングです。熱帯生まれのオクラはとにかく寒さが苦手で、生育適温は25℃から30℃と、他の夏野菜と比べてもかなり高めに設定されているんですよね。
アフリカ原産のオクラが求める温度環境
オクラの故郷はアフリカ東北部。強烈な日差しと高い気温が当たり前のサバンナ地帯で進化した植物です。だからこそ、日本の気候で育てるには、この熱帯の環境にどれだけ近づけてあげられるかがカギになります。
種をまいてしっかりと発芽のプロセスをスタートさせるためには、日中の気温だけでなく、最低地温が15℃以上に達していることが絶対に必要です。(出典:タキイ種苗『野菜栽培マニュアル オクラ』)
地温が足りないと土の中で種が腐ってしまう
日中の気温が暖かくなってきたから大丈夫かなと、土の温度(地温)を軽視してしまうのは、実はとても危険なんです。地温が15℃に達していない冷たい土に種をまいてしまうと、種が水を吸っても内部で成長のスイッチが入らず、細胞分裂がピタッと止まってしまいます。
そうすると発芽が遅れるばかりか、弱った種が土の中にいる病原菌(ピシウム菌など)の標的になり、そのまま真っ黒に腐ってしまう直接的な原因になります。立枯病などの厄介なトラブルも、この初期の温度不足から引き起こされることが多いんですよ。
ポイント

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暦に惑わされず実際の暖かさを待つ勇気を
園芸店に種が並び始めたり、春になったからと暦だけで判断して焦ってまくのはグッとこらえましょう。自然のサイクルに逆らわず、じっくりと地面が芯から暖かくなるのを待つことが、結果的に丈夫で元気な苗を育てる一番の近道になるかなと思います。
もし、お住まいの地域が寒冷地で気温が上がりにくかったり、どうしても少し早めの時期から栽培をスタートさせたい場合は、畑に不織布をベタがけしたり、ビニールトンネルを設置して、物理的に土の温度と気温を人工的に高く保つ工夫を必ず取り入れてみてくださいね。
3月の早まきは避けるべき理由とは?
園芸店やホームセンターに行くと、3月頃から夏野菜の種がずらりと並び始めますよね。早く植えれば、その分早くたくさん収穫できるかも!とウキウキして種を手に取る気持ち、私も園芸を楽しむ一人としてとてもよく分かります。しかし、ことオクラに関しては、3月の種まきは百害あって一利なしと言えるほど非常にリスクが高いと言わざるを得ません。
春の陽気と実際の地温の危険なギャップ
3月は暦の上では確かに春ですが、日中はポカポカと暖かくても、夜間から明け方にかけての冷え込みはまだまだ厳しい時期です。私たちが肌で感じる気温以上に、土の中の温度(地温)は上がりにくく、オクラが目覚めるために必要な最低地温15℃には遠く及びません。この人間の感じる春と実際の地温のギャップが、早まきの最大の落とし穴になります。
冷たい土の中での種の悲鳴
このまだ冷たい土の中に無理に種をまいてしまうと、オクラの種はどうなってしまうのでしょうか。種は土の中の水分を吸い上げますが、寒さのために細胞分裂のスイッチが全く入らず、成長がピタッと止まってしまいます。気温が10℃を下回るような過酷な環境にさらされると、熱帯生まれのオクラは生理的な生育限界を迎えてしまい、最悪の場合は組織が壊死してしまいます。
さらに厄介なのは、冷たく湿った土の中でじっと動けない弱った種が、土の中に潜むピシウム菌などの病原菌の格好の標的になってしまうことです。結果として、芽を出す前に土の中で真っ黒に腐ってしまう直接的な原因となります。
注意ポイント
早くまいたのに、結局芽が出なくて5月にまき直すことになった…というのは、オクラ栽培の失敗談として本当によく耳にします。自然のサイクルに逆らわず、オクラが気持ちよく目覚められる本当の暖かさが来るまでじっと待つのが、結果的に一番の近道になりますよ。
種まき作業はいつまで可能?

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早まきがNGなら、逆にいつまでなら種をまいても間に合うの?と疑問に思う方も多いですよね。お住まいの地域にもよりますが、結論からお伝えすると、オクラの種まきは一般的に7月中旬までであれば十分に可能です。
オクラは生育スピードが非常に速い野菜です。条件が良ければ、種をまいてからおよそ50日〜60日ほどで最初の花が咲き、収穫が始まります。そのため、7月に種をまいたとしても、順調に育てば9月上旬頃からは自家製のオクラを食卓に並べることができるんです。
秋の気温低下と収穫期間のタイムリミット
ただし、遅まきには収穫を楽しめる期間が極端に短くなるという明確なデメリットが存在します。熱帯生まれのオクラは、秋が深まり気温が20℃を下回り始めると、新しい花芽がパタッとつかなくなります。
仮に7月中旬に種をまいて9月から収穫をスタートさせた場合、10月に入って本格的な寒さを迎えるまでのわずか1ヶ月ちょっとしか収穫期間がありません。5月〜6月にまいた場合の3ヶ月以上も長期間収穫できるというオクラ最大の魅力を十分に味わう前に、株が限界を迎えてしまうことになります。
| 種まき時期 | 収穫スタート目安 | 収穫を楽しめる期間 |
|---|---|---|
| 標準まき(5月下旬〜6月) | 7月中旬〜下旬 | 約2.5〜3ヶ月間(たっぷり大収穫!) |
| 遅まき(7月上旬〜中旬) | 8月下旬〜9月上旬 | 約1〜1.5ヶ月間(秋の短期間) |
あえて遅くまくずらし巻きというテクニック
とはいえ、この性質を逆手に取ったずらし巻きという上級テクニックもあります。5月に第一弾をまき、あえて7月に第二弾の種をまくことで、夏の終わりに第一弾の株がバテてきた頃、第二弾の若い株から柔らかい秋オクラを収穫するというリレー栽培ですね。限られたスペースをうまくやりくりできる方には、とてもおすすめの方法ですよ。私も毎年この方法を取り入れて、秋まで長くオクラを楽しんでいます。
メモ
元気に育つための土の作り方
オクラは、太い主根が地中深くへ真っ直ぐ伸びる直根性(ちょっこんせい)という特徴を持っています。そのため、根がスムーズに伸びていけるよう、ふかふかで水はけの良い土作りが欠かせません。
酸度の調整と元肥の施し方
畑で育てる場合、土の酸度(pH)は弱酸性から中性の6.0〜6.5が目安です。日本の土は雨の影響で酸性に傾きがちなので、種をまく約2週間前に、1平方メートルあたり100g〜150g程度の苦土石灰をまいて酸度を調整しておきましょう。
さらに、1週間前には腐葉土や完熟堆肥をしっかりすき込んで土をふかふかにし、初期の成長を助ける元肥(もとごえ)も混ぜ合わせておきます。ただし、オクラは初期に肥料(特に窒素分)が多すぎると、葉っぱばかりが茂って実がつかない「つるぼけ」になりやすいので、元肥は控えめにするのがコツです。
連作障害とコンパニオンプランツ
また、オクラは連作障害を起こしやすい野菜です。
特に土の中のネコブセンチュウという微小な害虫の被害に遭いやすいため、過去2〜3年以内にオクラや同じアオイ科の植物を植えた場所での栽培は避けてくださいね。どうしても場所が限られていて心配な場合は、土の中のセンチュウを減らす効果があるマリーゴールドを一緒に植えるのがおすすめです。
詳しくはマリーゴールドの寄せ植え!おしゃれな組み合わせと相性の良い花の記事でも解説していますので、参考にしてみてくださいね。
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プランター栽培を成功させる条件とは?

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お庭やベランダの限られたスペースで育てるなら、プランター栽培が手軽で日々の観察もしやすいですよね。
ただ、オクラは夏野菜の中でもトップクラスに背が高く育つ植物であり、根が地中深くへと真っ直ぐ伸びる直根性(ちょっこんせい)という強い特徴を持っています。そのため、他の葉物野菜などと同じ感覚でプランターを選ぶと、後々大きなトラブルに繋がってしまいます。
一番大切なのは、主根が十分に真っ直ぐ伸びるスペースを確保するため、幅60cm以上、深さ30cm以上の深型プランターを必ず選ぶことです。
もし浅いプランターを使ってしまうと、根がすぐに底にぶつかって行き場を失い(根詰まり)、そこで株全体の成長がピタッと止まってしまいます。さらに恐ろしいのは、地上部が1.5メートル近くまで育った後の倒伏リスクです。
葉が大きく育つオクラは風の抵抗をまともに受けるため、土の量が少なく重心が高い浅い鉢だと、夏の突風や台風でいとも簡単に鉢ごと倒れてしまい、茎がポッキリと折れてしまうんです。
| プランターの選び方目安 | 詳細・理由 |
|---|---|
| 深さ | 30cm以上の深型(直根の伸長を邪魔せず、株の重心を下げて倒伏を防ぐため必須) |
| 幅 | 60cm以上(このサイズでオクラ2株を余裕を持って育てるのがベストバランス) |
| 用土 | 排水性の高い市販の野菜用培養土(病気を防ぐため、古い土の使い回しは絶対に避ける) |
土については、水はけと保水性のバランスがあらかじめ計算されている市販の野菜用培養土を新しく用意すれば間違いありません。オクラは肥料をたくさん必要とするため、初期の栄養(元肥)が最初からブレンドされているタイプを選ぶとスムーズに栽培をスタートできます。
ベランダ特有の乾燥と照り返しに注意
また、プランター栽培で絶対に気をつけていただきたいのが、水やりと熱の管理です。プランターは畑に比べて土の絶対量が少ないため、オクラが大好きな真夏の暑い時期には、信じられないほどのスピードで土が乾燥していきます。
土の表面が白っぽく乾いたことを確認したら、鉢底の穴から水が勢いよく流れ出るまで、たっぷりと水やりをしてください。この底から流れ出るまでというのが非常に重要で、単に水分を補給するだけでなく、土の中の古い空気を押し出し、新鮮な酸素を根の隅々にまで届けるという大切な役割があるんです。
注意ポイント
真夏のベランダの床は、目玉焼きが焼けるほどの高温になります。プランターを床に直置きすると、その熱がダイレクトに伝わって土の中の根が煮えてしまう高温障害を引き起こします。必ずレンガやプランタースタンド、すのこ等の上に乗せて、鉢底と床の間に風の通る隙間を作ってあげてくださいね。
この鎮圧によって種と土を密着させる作業は、乾燥を防ぐための絶対条件です。ほうれん草の種まきのコツを徹底解説!失敗しない準備と発芽の手順の記事でも詳しく解説していますが、オクラのように硬い種にとっては、このひと手間で発芽率が劇的に変わりますよ。
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オクラの種まきの実践手順と失敗を防ぐ育苗法とは?

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土作りや時期の準備が整ったら、実際の種まき作業に移ります。
オクラの種は「硬実種子」と呼ばれ、表皮が極めて硬く水分を吸収しにくいため、まく前に半日から1日ほど水に浸して発芽のスイッチを入れる下処理が非常に効果的です。また、強い光に当たると発芽が抑制される嫌光性種子であるため、種の直径の2〜3倍(5〜10mm)の深さに覆土し、種と土を密着させて隙間をなくすことが発芽率を高めるコツです。
実際の栽培では、畑に直接種をまいて自然な根張りを促す直まきと、ネキリムシなどの害虫被害を防ぐためにポットやセルトレイで苗を育てる方法など、環境に応じた育苗アプローチを選択します。1つの播種穴に3〜4粒の種をまとめてまくことで、発芽時に互いに土を押し上げ支え合う効果を狙うことも大切なポイントです。
後半では、確実な発芽を促す種の下処理から初期のトラブル対策まで、実践的な育苗の手順を具体的にお伝えします。
確実な発芽を促す種の下処理とは?

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オクラの種は硬実種子(こうじつしゅし)という、皮がとても硬い作りになっています。買ってきた種をそのまままくと、水を吸い上げて発芽の準備が整うまでに非常に時間がかかってしまいます。そこで、種まきの前に少し手を加えてあげるのが発芽を揃える最大の秘訣です。
浸水処理は12〜24時間が目安

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一番手軽で効果的なのが、種まきの前に半日から1日(12〜24時間)ほど水に浸けておく方法です。こうすることで、硬い種皮から水分が入り込み、発芽のスイッチがオンになります。ただし、長く浸けすぎると種がふやけて破れやすくなり、土の中の菌に感染して腐る原因になるので、長くても丸1日と決めておいてくださいね。
嫌光性種子だから覆土と鎮圧が命
また、オクラは光を嫌う嫌光性種子(暗発芽種子)です。光が当たると発芽を止めてしまう性質があるため、覆土(土を被せる深さ)は種の直径の2〜3倍である5〜10mmをきっちり守りましょう。浅すぎると光が透けてしまい、深すぎると芽が地上に出る前に力尽きてしまいます。
メモ
直まきとポット育苗の使い分けについて
オクラの種まきには、畑やプランターに直接種をまく直まきと、小さなポリポットで苗を作ってから植え替えるポット育苗の2種類の方法が存在します。どちらを選ぶべきか迷うところですが、オクラの性質を考えると、基本的には直まきが圧倒的におすすめです。

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オクラは太い主根が地中深くへと真っ直ぐ伸びていく「直根性(ちょっこんせい)」という性質を持っています。
根が植え替え(移植)の刺激に非常に弱いため、最初から最後まで育てる場所に直接種をまくことで、根に物理的なストレスを与えず、夏の深刻な乾燥にも耐えうる強靭な株に育てることができます。
畑やプランターへの正しい直まき手順

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実際に畑やプランターへ直まきをする際は、株と株の間隔(株間)を約30cmほどしっかりと取ります。そして、深さ1cmほどの浅い穴に3〜4粒の種をまとめてまきます。
オクラの幼芽は、複数で密集して生えることで、互いに助け合いながら硬い土を押し上げる「共発芽(きょうはつが)」という不思議な性質を持っています。そのため、1粒ずつ離してまくのではなく、あえて1箇所に複数粒をまくのが正解です。
直まきの弱点を補うポット育苗の活用法
このように理想的な直まきですが、実は非常に厄介な死角があります。
それがネキリムシ(夜盗虫などの幼虫)による初期段階での深刻な食害リスクです。ネキリムシは発芽したばかりの柔らかいオクラの茎を地際で容赦なく噛み切ってしまい、被害に遭った幼苗は再生できずにそのまま枯れてしまいます。
そこで、この害虫リスクを回避するための例外的な対策としてポット育苗を活用します。
天候が不安定な時期でも、日当たりの良い窓辺などで安全に苗を一定の大きさまで育てられるメリットがあります。3号(直径9cm)ほどのポリポットに野菜用培養土を入れ、直まきと同じように中心に3〜4粒まとめて種をまきます。
注意ポイント
直根性のオクラは植え替えの刺激に弱いとお伝えしました。そのため、ポットで育てた苗の本葉が3〜4枚になり定植する際は、事前にたっぷりと水を与えて土を固め、根の周りの土(根鉢)を絶対に崩さないように優しくスライドさせて取り出し、そのまま植え付けてください。
どちらの方法が良いか迷ってしまうという方に、私が最も推奨する一番確実なアプローチがあります。
それが、本命の直まきと、予備のポット育苗を同時に進行させるハイブリッド方式です。畑に直接種をまきつつ、保険としてポリポットにも種をまいて安全な場所で育てておきます。もし直まきの芽が虫に食べられてしまっても、手元にあるポットの苗をすぐに補充できるので、種をまき直すという季節的な時間ロスを完璧に防ぐことができますよ。
セルトレイを用いた育苗のコツは?

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たくさんの苗を一度に効率よく作りたい場合や、ベランダなどの限られたスペースで育苗を行いたい場合には、区切られた小さな穴がいくつも並んだセルトレイ(プラグトレイ)を使った育苗が非常に便利です。
セルトレイ最大のメリットは、場所を取らずに大量の種まきができることと、トレーごと持ち運びが簡単なため、肌寒い時期でも日当たりの良い室内の窓辺などで細やかな温度管理がしやすい点にあります。
具体的な手順としては、セルトレイの各穴に、肥料分が少なくきめ細かい種まき専用の培養土をしっかりと詰め、各穴に1〜2粒ずつ種をまいて、種の直径の2〜3倍の深さで覆土と鎮圧を行います。
セルトレイ育苗における最大の注意点
とても便利なセルトレイですが、オクラを育てる上では土の量の少なさが最大のネックになります。オクラの根は下に真っ直ぐ伸びる直根性のため、セルトレイの浅く小さな穴の中では、あっという間に根が底にぶつかり、行き場を失ってしまいます。
根が小さな穴の中でぐるぐると巻いてしまう(根巻き)と、その後の生育が著しく悪くなり、最悪の場合は根が茶色く変色して老化してしまいます。そのため、セルトレイでオクラを育てる場合は、他の野菜よりも圧倒的に早いタイミングでの植え替えが必須条件になります。
ポイント
双葉が開き、本葉が1〜2枚ちょこんと顔を出したタイミングが、セルトレイからの卒業時期です。この段階で、3号などの大きめのポリポットへ鉢上げ(植え替え)するか、気温が十分に高ければそのまま畑やプランターへ定植してしまいましょう。
失敗しない苗の取り出し方
セルトレイから苗を取り出す際、茎を引っ張って土をボロボロと崩してしまうのは絶対にNGです。根鉢を綺麗な形のまま抜き取るには、植え替えの半日〜1日ほど前から水やりを控え、土を少しだけ乾燥させておくのがコツです。
土が少し縮んで抜きやすくなります。抜き出す時は、セルトレイの裏側の底穴から、指や割り箸などで優しく土の塊ごと押し上げるようにして取り出し、そのまま新しい土へそっと植え付けてくださいね。
ただ、セルトレイは1つ1つの穴に入っている土の量が少ないため、すぐに根がいっぱいになってしまいます。根が回りきる前に早めに大きめのポットへ鉢上げ(植え替え)するか、本葉が2枚程度になったらそのまま畑へ定植する必要があります。植え替えのタイミングを逃すと、根が茶色く変色して傷みやすくなるので、日々の観察が大切になりますね。
生育初期の失敗を防ぐトラブル対策
種をまいてから1週間以上経つのに一向に発芽しない、心配になって土を掘り返してみたら、種が真っ黒に腐っていたというトラブルは、オクラ栽培において実はとても多くの方が経験する共通の悩みです。
適切な手順を踏んだつもりでも芽が出ない場合、そこには必ず論理的な原因が潜んでいます。もし失敗してしまったと感じたら、以下のポイントを一つずつ検証してみてください。
| 失敗の現象と原因 | 具体的な対策と解決法 |
|---|---|
| 温度不足による腐敗:地温15℃未満での早まき | 中間地では5月下旬以降の安定期まで待つ。寒冷地や早期栽培ではビニールトンネル等で確実に保温する。 |
| 光の影響による発芽抑制:覆土が浅すぎて光が当たっている | 嫌光性(暗発芽)を意識し、種の直径の2〜3倍(5〜10mm)の土を確実にかぶせ、光を遮断する。 |
| 水分不足による乾燥死:まいた後の鎮圧が足りない | 種まき直後に手のひらで土を軽く押し固め、種と土を密着させることで、毛細管現象による水分の供給経路を確保する。 |
| 浸水しすぎによる防御力低下:種を水に丸2日以上浸けてしまった | 事前の浸水処理は12〜24時間を厳守する。長時間水に浸けてふやけた種は、土壌中の雑菌に感染しやすくなる。 |
意外な落とし穴 種の寿命と保管状態
上記の条件をすべて満たしていても発芽しない場合、種自体の寿命や劣化を疑う必要があります。
オクラの種の寿命は、適切な環境で保管された場合でも2〜3年が限界です。特に高温多湿な環境に放置されていた種は、1年未満であっても細胞組織が劣化し、発芽能力を完全に失ってしまいます。購入した種が余った場合は、必ず密閉できる袋に入れ、湿度の低い冷暗所(冷蔵庫の野菜室など)で保管するようにしてくださいね。
確実性を極める芽出しテクニックの極意
どうしても発芽の失敗を避けたい方におすすめなのが、土にまく前にあらかじめ根を出させておく芽出し(催芽処理)という高度なテクニックです。半日から1日水に浸した種を、湿らせたキッチンペーパーやガーゼを敷いたタッパーなどに並べ、適温で数日管理します。
注意ポイント
種の殻を破って、幼根の先がほんの1〜2mm顔を出した瞬間が土へ植え付けるベストタイミングです。これ以上根を長く伸ばしてしまうと、土に埋める際のわずかな摩擦で根の先端がポキッと折れてしまい、そこから腐敗が進行して最終的な活着率を大きく下げてしまいます。
また、オクラは光を嫌うため、芽出しの待機期間中も直射日光の当たる窓辺などは避け、暗所または薄暗い環境で管理することが重要です。この芽出し処理を行えば、発芽不良という不確実性を極限まで排除することができますよ。
オクラの種まきについての総括

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無事に発芽し、苗が元気に育ってきたら、いよいよ収穫に向けた楽しい管理が始まります。オクラ 種まきの成功を豊作へと繋げるために、定植後に特に気をつけてほしいのが肥料のタイミングです。
追肥(追加の肥料)を与えるベストなタイミングは第1花(最初の花)が咲いた時です。これより前に肥料を与えすぎると、葉や茎ばかりが茂って肝心の実がつかないつるぼけという状態になってしまうので注意してくださいね。第1花が咲いたら、それ以降は2週間に1回のペースで定期的に追肥を行い、肥料切れを防ぎます。
また、オクラの実は開花からの成長が驚くほど速いです。
開花から4〜5日後、サヤの長さが5〜8cmくらいになったら、硬くなる前にハサミでササッと収穫してしまいましょう。大きくなりすぎたものは筋張って食べられなくなってしまいます。収穫と同時に、風通しを良くするために収穫した実のすぐ下の葉っぱを切り落とす摘葉(てきよう)を行うと、病気も防げて株が長持ちしますよ。
今回ご紹介した温度管理や土作りの基本を守りながら、ぜひご自宅で採れたての柔らかく美味しいオクラを楽しんでみてくださいね。応援しています!

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