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キュウリの挿し木で無限収穫!失敗しない時期と簡単な水挿しの方法

キュウリの挿し木で無限収穫を実現する栽培方法の解説

こんにちは。園芸の教科書運営者のめぐみです。

キュウリを育てていると、成長の途中で脇芽がたくさん出てきて、「せっかく元気なのにもったいないな」と思いながら摘み取って捨ててしまうこと、ありませんか?せっかくなら、その脇芽を使ってキュウリの挿し木に挑戦してみたいという方も多いかなと思います。

でも、いざ自分でやってみようと調べても、栽培に適した時期はいつなのか、手軽な水挿しと土に挿すのはどちらが良いのか、ペットボトルを使った方が成功しやすいのかなど、わからないことだらけで迷ってしまいますよね。

それに、「せっかく根が出たのに、畑に植え替えた途端にしおれる」「いつの間にか枯れる」といった失敗談もよく耳にするので、不安に感じるかもしれません。

この記事では、そんなあなたの疑問や不安を解消するために、捨てるはずだった脇芽を使って丈夫なクローン苗を作る手順から、定植後のトラブルを防ぐコツまで、分かりやすく丁寧に解説していきます。

この記事を最後まで読んでいただければ、失敗の少ない科学的なアプローチが分かり、おうちのキュウリをもっと長く、たくさん収穫できるようになりますよ。一緒に楽しく学んでいきましょう!

この記事でわかること

  • キュウリの脇芽を使った水挿しの具体的な手順と発根のコツ
  • 発根率を高めるペットボトル密閉挿しのやり方と最適な温度管理
  • 定植後に苗がしおれる原因と、致命的な水分ストレスを防ぐ対策
  • 病気や肥料焼けを回避して挿し木栽培を成功させる土づくりのポイント

キュウリの挿し木を成功させる方法とは?

キュウリの脇芽を水挿しするために斜めにカットする日本人女性

園芸の教科書・イメージ

キュウリの挿し木って、なんだか難しそう…と身構えていませんか?

実は、植物が持つ生命力をほんの少しサポートしてあげるだけで、誰でも魔法のように簡単に根を出させることができるんです!うまくいけば、ホームセンターで1本数百円する苗を無限に増やせるようになりますよ。

ここでは、今日からすぐに試せる手軽な水挿しから、病気に負けない強靭な苗を作るプロ顔負けの断根挿し木まで、絶対に根を出させるための極意をステップ・バイ・ステップでお伝えします。

この章を読めば、私にもできるかも!とワクワクしてくるはずです。さあ、一緒に挿し木マスターを目指しましょう!

脇芽を活用した水挿しの手順とは?

キュウリの栽培が中盤に差し掛かると、主枝(メインの茎)がどんどん伸びて、葉っぱの付け根(節)から側枝と呼ばれる脇芽が盛んに出てきますよね。通常、この脇芽はキュウリの実へ栄養をしっかり送るためや、葉が茂りすぎて風通しが悪くなるのを防ぐために、早めに摘み取って捨ててしまうのが一般的です。ですが、この摘み取った脇芽を挿し穂(さしほ)として再利用し、新しい苗を作るのが脇芽挿しという技術なんですよ。

トマトの脇芽を土に挿して増やすのは園芸好きの間ではよく知られていますが、実はキュウリでも同じように栄養繁殖(クローン増殖)が極めて高い確率でできるんです。

まず、挿し穂にする脇芽の選び方ですが、長さが7〜10センチから、最大でも20センチくらいまでに育った元気な枝を選ぶのがベストです。先端が二股に分かれているなど、勢いのある枝を探してみてくださいね。そして、株のどの位置の脇芽を取るかも発根を成功させる重要なポイントです。

植物の中には、炭水化物と窒素のバランス(C/N比と呼びます)というものがあり、これが根を出す力を左右します。

株の先端に近い若い組織は窒素が多くて炭水化物が足りないため軟弱すぎますし、逆に根元に近い古い組織は木のように硬くなっていて、新しい細胞が作られにくいんです。ですから、株の真ん中あたりにある枝で、手で曲げたときにポキッと鋭く折れるけれど、完全にはちぎれずに皮一枚繋がるくらいの硬さのものが、最も理想的なバランスを持っています。

脇芽を切り取る道具にも注意が必要です。

普段よく使う剪定鋏は、刃に厚みがあるため、切る時に茎の中の導管(水を吸い上げるストローのような管)を押し潰してしまいがちです。導管が潰れると、切り離された後の吸水能力がガクッと落ちてしまいます。

これを防ぐために、カッターナイフや非常に鋭利なナイフを使い、節のすぐ下を斜めにスパッと切るのがおすすめです。斜めに切ることで水を吸う面積が広がり、挿し穂が水を飲みやすくなるんですよ。

切り取った挿し穂は、根がない状態なので極度の水不足(水分ストレス)に直面します。そのため、事前の下処理として、下の方についている葉っぱや花の蕾、もし小さな実がついていればそれも全部取り除いてください。

さらに、残した上部の葉っぱも、ハサミで半分にチョキッと切ってしまいます。かわいそうと思うかもしれませんが、葉の面積を物理的に半分に減らすことで、葉の裏にある気孔から水分が逃げていく(蒸散)のを防ぐための、絶対に欠かせない作業なんです。

準備が整ったら、いよいよ挿し木です。

直接土に挿す土挿しよりも、切り口を水につけて根が出るのを待つ水挿しの方が、キュウリの場合は飛躍的に成功率が高いですよ。透明なコップや容器に水を張り、直射日光の当たらない明るい日陰(半日陰)に置いてあげてください。水の中の酸素がなくなったり、雑菌が繁殖したりするのを防ぐために、水は2日に1回のペースで新しいものに取り替えるのがコツです。

この環境を保ってあげると、約1週間ほどで節のあたりから白くてポツポツとした不定根(ふていこん)と呼ばれる新しい根が出てきます。

そのまま2〜3週間ほど水につけておけば、土に植え替えられる立派な根っこを持ったポット苗の完成です。種から育てると1ヶ月ほどかかる育苗期間を劇的に短縮できて、しかもほぼ100%に近い確率で成功する、とても強力で楽しいテクニックですよ。

断根挿し木のやり方とメリット

脇芽を使う方法とは別に、キュウリの挿し木には胚軸切断挿し木(はいじくせつだんさしき)、別名断根挿し木と呼ばれる、少しプロフェッショナルで革新的な手法もあります。これは、まだ赤ちゃんである幼苗の時期に、あえて大きなストレスを与えて植物を強くするという方法です。

やり方としては、種をまいて発芽し、双葉が開いて本葉が0.5枚(完全に開ききっていない状態)から3枚くらいになったタイミングで行います。なんと、地際(土の表面すれすれ)の茎の部分(胚軸)を刃物でスパッと完全に切り落としてしまうんです。そして、根っこがなくなった地上部の苗を、再び別の培地に挿し直して新しい根を出させます。そんなことをして枯れないの?とびっくりしてしまいますよね。

確かに、吸水するための主根を失うので、キュウリの苗は一時的に成長をストップさせます。しかし、これがキュウリの生き残らなきゃ!という生存本能に火をつける強力なトリガーになるんですよ。

通常の種から育ったキュウリは、地中深くにまっすぐ主根を伸ばそうとします。しかし、茎を切断されるとそのプロセスがリセットされ、切断面や茎の側面から、無数の新しい根(側根・不定根)が放射状に、そして土の表面に向かって爆発的に生えてくるようになります。

キュウリの根は本来、浅く広く張る性質を持っているので、この無数に生えた新しい根のネットワークが、土の表面にある水分や栄養をすさまじい効率で吸収してくれるようになるんです。

ポイント

断根挿し木の最大のメリットは病気に対する免疫力がつくことです。
断根挿し木により病気に強い免疫力を持ったキュウリ苗の解説

園芸の教科書・イメージ

さらに素晴らしいのは、植物の病気に対する強さ(抵抗性)が引き出される点です。切断された茎を土に挿した時、切り口の傷から土の中にいる有益な微生物(悪さをしない特定の糸状菌や細菌)が植物の中に入り込み、共生関係を築きます。

この微生物との共生が、植物自身の自己防衛機能である全身獲得抵抗性(SAR)というバリアを強力に引き出してくれるんです。これにより、キュウリにとって致命的となるつる割病などの、土から感染する厄介な病気への強さが飛躍的にアップします。

また、種をたくさんまいて間引いた苗を捨てずに有効活用できたり、日照不足などでヒョロヒョロと間延びしてしまった(徒長した)苗の茎を短く切り詰めることで、どっしりとした定植向きの優良な苗に仕立て直せるというメリットもあります。

少し勇気のいる方法ですが、病気に強い丈夫な苗を作りたい時にはぜひ知っておきたい技術ですね。

栽培に適した時期と温度管理

初夏の畑で地温計を使いキュウリの植え付け適温を確認する日本人男性

園芸の教科書・イメージ

キュウリの挿し木でクローン苗を増やすためには、キュウリが本来どんな環境が好きなのかを知っておくことがとても大切です。

キュウリの原産地はインドのヒマラヤ山麓だと言われています。この気候をイメージして、温度・湿度・光のバランスを整えてあげることが成功への近道なんです。この3つの要素は連動していて、どれか一つでも適正な範囲から外れてしまうと、挿し穂はあっという間に枯れてしまいます。

まず、キュウリは高温性の夏野菜です。公的機関の栽培指針などでも、昼間の気温は25〜32℃(涼しい場合でも25〜28℃)、夜間の気温は13〜16℃というように、昼と夜で温度差をつける変温管理が推奨されています(出典:鹿児島県『キュウリの年間栽培体系』)

午前中は光合成を活発に行うために27〜30℃と少し高めをキープし、午後は25℃前後へ少し下げます。そして夜間は、葉で作られた栄養を実や根に運ぶ(転流)のを助けつつ、呼吸によって余計なエネルギーを消耗しないように、グッと温度を下げてあげるのが基本の考え方ですよ。

挿し木や苗を育てる段階で一番警戒しなければならないのが低温です。

キュウリが耐えられる限界の温度は10℃前後で、品種によっては7℃を下回ると危険です。もし5℃以下の寒さが続いてしまうと、細胞の活動が完全にストップして枯死状態に陥り、0℃になれば細胞が凍ってしまって完全にアウト(凍死)となります。

反対に、真夏の35℃を超えるような猛暑や強すぎる直射日光も大敵です。葉っぱが日焼けして傷む(光阻害)だけでなく、葉から水分が急激に蒸発してしまい、日中に激しくしおれてしまいます。

そして、気温と同じか、それ以上に気を配りたいのが地温(土の温度)です。挿し穂の切り口から新しい根(不定根)を作り出すためには、細胞分裂を促すための酵素を活発に働かせる必要があります。

そのためには、土の温度を最低でも18〜23℃、できれば理想の25℃前後に保ってあげてください。気温が暖かくても、土の温度が15℃を下回ると根が出るスピードがガクンと落ちてしまい、13℃以下になるとほぼ成長が止まってしまいます。

挿し木で根が出た後、畑に植え付ける(定植する)時も同じです。土の温度が低いと苗が根付きにくいため、土を高く盛る高畝(たかうね)にしたり、黒いビニールシートなどで土を覆うマルチングをして地温を高く保ってあげることが、スムーズに成長させるための大切な鍵になりますよ。

ペットボトルを用いた密閉挿しとは?

挿し木をしてから根が生えてくるまでの間、植物は根っこから水を吸い上げることが全くできないという、とても過酷な状態に置かれます。この期間に一番怖いのが空気の乾燥です。

少し専門的な言葉になりますが、飽差(VPD)というものがあります。これは、今の空気が「あとどれくらい水蒸気を含むことができるか(空気の乾燥具合)」を示す指標です。この飽差が大きい、つまり空気がカラカラに乾燥していると、葉っぱの気孔から植物の中にある大切な水分が容赦なく空気中へと奪い取られてしまいます。すると細胞のパンパンな張り(膨圧)がなくなり、挿し穂は一瞬でしなしなにしおれて枯れてしまうんです。

この致命的な水分ストレスから挿し穂を守るための、究極の裏技があります。それが密閉挿し(ドーム挿し)という方法です。ご家庭にあるペットボトルで簡単にできるので、ぜひ試してみてくださいね。

やり方はとてもシンプルです。空のペットボトル(大きめの炭酸飲料用などが扱いやすいです)を準備し、真ん中あたりでカッターを使って水平に半分に切ります。下半分には、無菌の清潔な土(バーミキュライトなど)を敷き詰めて、水をたっぷり含ませます。そこに準備したキュウリの挿し穂を挿し込みます。そして、先ほど切り取ったペットボトルの上半分を被せて、切り口をテープでぐるっと一周して完全に密閉してしまいます。

ポイント

ペットボトルで作る湿度100%の小さな温室が発根のエネルギーを生み出します。
ペットボトル密閉挿しで湿度100%を維持し発根を促す仕組み

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このペットボトルの中では魔法のようなサイクルが起こります。土や葉っぱから蒸発した水分が、ペットボトルの内側に水滴(結露)として付き、それがまた土へと戻っていくんです。この循環のおかげで、ペットボトル内の湿度は常にほぼ100%(つまり飽差がゼロ)に保たれます。

湿度100%の環境にいると、葉っぱから水分が蒸発したくてもできない状態になります。そのため、根っこがなくて水を吸えなくても、挿し穂が水切れを起こす心配がなくなるんです。

水分をキープすることにエネルギーを使わなくて済む分、光合成で作った貴重な栄養を新しい根を出すことだけに全集中させることができる、というわけです。

だいたい2〜4週間ほど経って、ペットボトルの外側から白い根っこが見えるようになったら成功です。ただし、根が出たからといって急に外の空気にさらすと、環境の急変でショック死してしまうことがあります。

最初はペットボトルのキャップを外して少しだけ空気を通し、数日後に上半分を外し、直射日光の当たらない場所から少しずつ日向へ移動させるなど、外の低い湿度と強い光に段階的に慣れさせる順化(じゅんか)というプロセスが絶対に必要です。ここだけは焦らず、ゆっくり環境に慣らしてあげてくださいね。

発根を促す無菌培地の選び方とは?

水挿しではなく、土などの固形培地を使って直接挿し木をする場合、どんな土を使うかが成功と失敗を分ける最大の分かれ道になります。新しい根(不定根)が作られて伸びていくためには、土の中にたっぷりの水分と十分な酸素という、一見すると真逆の環境が絶妙なバランスで揃っている必要があるからです。

そして、キュウリの挿し木で使う土には、絶対に守らなければならない化学的なルールが2つあります。それは無菌であることと無肥料であることです。

まず、なぜ無菌でなければならないのか。

切り取られた挿し穂の茎の断面は、普段は植物を守ってくれている硬い表皮やバリア(クチクラ層)が失われ、中の柔らかい組織がむき出しになっています。人間でいうと、大きな擦り傷ができているような状態ですね。

もし、使う土の中に未熟な堆肥や有機物が混ざっていると、そこに生息している腐敗菌やカビの仲間(糸状菌)が傷口からあっという間に侵入してしまい、茎をドロドロに溶かして腐らせてしまいます。

次に、なぜ無肥料でなければならないのか。これは土壌の浸透圧という理科の法則が関係しています。もし土の中に肥料成分(窒素、リン酸、カリウムなどの塩類)がたくさん入っていると、土の中の水分がすごく濃い塩水のような状態になります。

植物の中の水分よりも、土の水分の方が濃い状態(高張液)になると、挿し穂の切り口やせっかく生えてきた繊細な根っこは、水を吸い上げるどころか、逆に植物の体の中から土の方へ水分を引っ張り出されてしまうんです。

この現象は逆浸透現象と呼ばれ、一般的には肥料焼けと言われます。これを起こすと、根っこの細胞が黒く変色して死んでしまい、地上部の葉っぱの縁が茶色く焦げたように枯れ込み、ひどい場合は株全体が枯れてしまいます。

ですから、肥料を与えるのは、挿し木からしっかり根が出て定植し、新しい葉っぱが出て本格的な成長が始まってから、というのが鉄則なんですよ。

この厳しい条件をクリアするため、挿し木には水持ち(保水性)と水はけ(排水性・通気性)が良く、清潔で肥料分を含まない無機質の土を使います。代表的な材料の特徴をまとめてみました。

培地材料 物理的・化学的特性と挿し木における有用性
赤玉土(あかだまつち)・鹿沼土(かぬまつち) 火山灰からできた土で、粒状(団粒構造)になっているため、適度に水を保ちながら余分な水はサッと流すという優れた特徴があります。無菌で肥料分もないため、挿し木の基本の土として単体で使っても非常に優秀です。
バーミキュライト 苦土蛭石(くどひるいし)という鉱物を高温で焼いて膨らませた人工の土です。もちろん無菌です。非常に軽くて水をたっぷり蓄える力があり、挿し穂のデリケートな切り口を優しく包み込んで発根を助けます。先ほど紹介したペットボトル密閉挿しにはこれが最適です。
パーライト 真珠岩や黒曜石という石を高温で焼いて発泡させた、白い粒状の土です。小さな穴がたくさん空いていて(多孔質)、土に混ぜることで通気性と水はけを劇的に良くしてくれます。根っこが呼吸するための酸素をしっかり供給し、根腐れを防ぐ役割があります。
ピートモス 泥炭という植物が積み重なったものを乾燥させて砕いたもので、スポンジのようにものすごく水を保つ力があります。本来は強い酸性なので、酸度を調整済みのものを選び、水持ちを良くするためのサポート役として混ぜて使います。

これらの土は単独で使っても大丈夫ですが、バランス良く混ぜ合わせることでさらに良い環境が作れます。専門的な配合の一例として、赤玉土4:鹿沼土4:ピートモス1:バーミキュライト1という割合でブレンドすると、水はけが良いのに乾きすぎない、挿し木にとって理想的な環境になりますよ。

また、土の病気にかかるリスクをゼロにするために、挿し木で根を出させた苗を土に植えず、そのまま水耕栽培で育てるという方法もあります。

水耕栽培にする場合は、野菜用の液体肥料(2液を混ぜるタイプなど)を使い、根っこ全部を水に沈めるのではなく、一部が空気に触れるように水位を調整して気中根(空中の酸素を吸う根)のスペースを作ってあげるのがコツです。こうすることで根腐れを防ぎながら、グングン大きく育てることができますよ。

キュウリの挿し木で失敗しない対策とは?

水挿しで発根したキュウリの白い不定根の近接撮影

園芸の教科書・イメージ

毎日ワクワクしながら観察して、やっと可愛い根が出てきた挿し木苗。それなのに、畑やプランターに植え替えた途端に葉っぱが黄色くなり、あっけなく枯れてしまった……実はこれ、挿し木初心者が最も陥りやすい魔の落とし穴なんです。

でも安心してください。

苗がしおれるのには必ず明確な理由があり、事前にちょっとした防衛策を知っておくだけで、悲しい失敗はしっかりと防げます。ここからは、あなたの大切なクローン苗を水分ストレスや恐ろしい病気から守り抜き、夏の終わりまでどっさり収穫し続けるための鉄壁の対策を余すところなくお話ししますね。

これを読めば、せっかくの苗を無駄にする不安から解放されますよ!

定植後に苗がしおれる原因は?

挿し木で育てた苗や買ってきた若苗を植え付けた後、下の方にある古い葉っぱから順番に黄色く変色して、株全体がだらんと「しおれていく」現象。これは、多くの場合水分ストレスが原因です。

土がカラカラに乾燥してしまうと、キュウリは自分の命を守るために防衛反応を起こします。限られた水分や栄養(窒素など)を、成長の中心である一番上の新しい葉っぱや、子孫を残すための花や実に優先的に回そうとするんです。

その結果、古い下葉の水分や栄養が奪い取られてしまい、下葉から黄色くなって枯れていくというメカニズムなんですよ。葉の色がおかしいと感じた場合は、キュウリが黄色くなる原因と対策!美味しく食べる方法や病気を解説もあわせて確認し、早めに対処してあげてくださいね。

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逆に、水をたくさんあげなきゃ!と思って毎日ジャブジャブ水やりをして、土が常にベチャベチャの過湿状態になってしまうのも危険です。

土の中の隙間に水が詰まって酸素がなくなってしまい、根っこが呼吸困難を起こして根腐れになってしまいます。根が腐ると水を吸い上げる機能が壊れてしまうため、結果的に「土に水はいっぱいあるのに、植物は水を飲めなくてしおれる」という状態に陥ります。

特に定植の直後は、まだ新しい土に根がしっかり張っていないため、水を吸う力がとても弱いです。

このデリケートな時期を乗り切るためには、植え付ける2時間前くらいに、ポットのまま水に浸して土全体にしっかり水を吸わせておくことが極めて重要です。そして植え付けた直後も、鉢底や畝の奥深くまで水が浸透するように、たっぷりと水を与えて、キュウリの根っこと周りの土をピッタリ密着させてあげてくださいね。

水分ストレスで枯れる時の対策は?

キュウリ苗の乾燥を防ぐために株元へ敷き藁マルチングを施す日本人男性

園芸の教科書・イメージ

水分不足や過湿といった極端な水分ストレスからキュウリを守り、元気に育てるためには、日々の水やりと環境づくりの両輪でカバーすることがとても大切です。水やりの具体的な頻度やコツについては、キュウリの水やり頻度で大豊作!失敗しない水分管理のコツを解説の記事もぜひ参考にしてくださいね。

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まず、過湿を防ぐためのアプローチとして有効なのが、土を高く盛って高畝(たかうね)を作ることです。

畑に植える場合、平らな場所にそのまま植えるのではなく、高さ20〜30センチくらいの台形のような畝を作ります。これだけで水はけが劇的に良くなり、梅雨の時期や大雨が降っても根っこが水浸しになるのを防ぎ、根腐れのリスクを大幅に減らすことができますよ。

そして、乾燥を防ぐためのアプローチがマルチングです。マルチングとは、株の周りの土を藁(わら)や黒いビニールシートなどで覆ってあげることです。これを行うことで、直射日光で土の水分が蒸発してしまうのを防ぎ、適度な湿り気をキープしてくれます。

プランター栽培でも、土の表面に藁やココヤシファイバーなどを敷いてあげるだけで、夏の水切れ対策として驚くほど効果がありますよ。

肥料焼けを防ぐ土づくりのコツ

水やりは完璧なのに、突然葉っぱの周りがチリチリになって枯れて始めてしまったら、それは化学的なストレスである肥料焼けかもしれません。

先ほどの無菌培地の選び方でも少し触れましたが、土の中の肥料成分が濃すぎると、浸透圧の逆転(逆浸透現象)によって、植物の体の中から土へ水分が奪われてしまいます。

特に定植の時、良かれと思って強い化成肥料をたくさん土に混ぜ込み、そこにキュウリの柔らかい根が直接触れてしまうと、一発で致命傷になります。葉の縁が茶色く焼け焦げたようになり、そのまま株全体が枯死してしまう恐ろしいトラブルです。

これを防ぐためには、定植の当日に慌てて土を作るのはNGです。計画的な土づくりが欠かせません。

ポイント

土づくりは定植の2週間前までに終わらせておくのが鉄則です。
キュウリ定植の2週間前に土づくりを行う栽培スケジュール

園芸の教科書・イメージ

植え付ける場所が決まったら、定植の2週間前までには、完熟した堆肥と、土の酸度を調整する石灰を土に混ぜ込んでなじませておきます。そして、元肥(もとごえ)として化成肥料を入れる場合は、必ずパッケージに書いてある適量を守り、土全体に均一に混ざるようにしっかり耕しておくことが不可欠です。

肥料が一箇所に固まっていたり、根に直接触れたりしないように注意してくださいね。キュウリは肥料がたくさん必要な肥料食いの野菜ですが、与える時は少しずつ、こまめにが基本ですよ。

定植後の具体的な肥料の与え方については、キュウリの追肥はいつ?タイミングの目安とおすすめ肥料を教えますで詳しく解説しているので、併せてチェックしてみてくださいね。

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つる割病などの病気への予防策は?

キュウリの苗が急激にしおれて枯れてしまう場合、カビ(糸状菌)や細菌、ウイルス、土の中にいる見えない害虫(センチュウ)による病害の感染も強く疑われます。これらの病原体は、植物の中の水の通り道(導管)に詰まって物理的に水をせき止めたり、細胞を壊したりして、致命的なダメージを与えます。

キュウリの挿し木栽培で特に気をつけたい主要な病害虫と、そのサインをまとめました。

主要病害虫 病理学的特長と発生メカニズム 予防・対策のポイント
つる割病
(糸状菌・カビ)
根の小さな傷から土壌中のフザリウム菌が入り込み、導管の中で増殖して植物の水分供給を物理的に詰まらせます(出典:高知県『こうち農業ネット きゅうり つる割病』)。水やりをしているのに晴れた日に急激にしおれ、地際の茎が赤茶色に割れてヤニが出たらこの病気のサインです。 一度発病すると治りません。キュウリの連作障害の症状と原因は?プランターでもできる対策でも解説している通り、まずは連作を避けること。または断根挿し木で共生微生物を定着させて免疫力を高めるのが有効です。ネギやニラを混植(コンパニオンプランツ)するのもおすすめです。
つる枯病
(糸状菌・カビ)
ジメジメした多湿環境で広がります。地際の茎や節が柔らかくなり、乾くと灰白色になってひび割れやヤニが出ます。ここから上の部分に水がいかなくなりしおれます。 葉が茂りすぎないように風通しを良くすることが第一。雨で土がはねて葉につくのを防ぐため、藁やビニールでマルチングするのが必須です。
べと病
(糸状菌・カビ)
梅雨や秋の長雨など、暖かくて湿度が高い時期に爆発的に広がります。葉っぱに角ばった黄色い模様ができ、光合成ができなくなって下から順に枯れ上がります。 湿度80%以上の環境を作らないこと。混み合った葉を摘み取って風通しを確保します。農薬を使う場合は、同じ成分ばかり使わずローテーション散布をします。
うどんこ病
(糸状菌・カビ)
べと病とは逆に、空気が乾燥していて昼夜の温度差が大きい時期に出やすいです。葉の表面に白い粉を吹いたようなカビが広がり、最終的に葉が黄色く枯れます。 極端な土の乾燥を防ぎ、適切に水やりをすること。窒素肥料を与えすぎると葉が弱くなって感染しやすくなるので注意です。初期に見つけたら対応します。
ウイルス病
(モザイク病など)
アブラムシなどの害虫が汁を吸うときにウイルスをうつします。葉がモザイク状に黄色くなったり、激しく縮れたりして、実も奇形になります。複数感染すると急激にしおれることも。 アブラムシの徹底的な防除しかありません。ウイルスに効く薬はないため、見つけたらすぐに根っこごと引き抜いて、畑から離れた場所で処分します。
ネコブセンチュウ
(土壌線虫)
土の中の目に見えない小さな線虫が根に寄生し、細胞を異常に太らせて無数のコブを作ります。根の機能が壊れるため、日中に激しくしおれます。 マリーゴールドを一緒に植える(対抗植物)、真夏に透明なビニールを被せて太陽熱で土壌消毒をするなどの対策があります。

注意ポイント

雨上がりに濡れた通路に立ち入るのは、実は非常に危険な行為です!
雨上がりの濡れた通路を踏まないための根への注意喚起

園芸の教科書・イメージ

病気に対する最も本質的な対策は、農薬に頼る前の栽培環境の物理的改善です。先ほどお話しした高畝やマルチングは、泥はねを防いでカビの感染を抑えるためにも絶大な効果を発揮します。

そして、家庭菜園でも農家さんでも意外と盲点になりやすいのが雨上がりに濡れた畑の通路を歩き回ることの危険性です。

土が濡れて柔らかい状態で人が上を歩いて体重をかけると、地表近くに浅く張っているキュウリの根っこが押し潰され、微細な傷がついてしまいます。さらに、土が濡れているため、その傷口から水をつたってフザリウム菌などの恐ろしい病原菌が一気に侵入してしまいます。

雨が降った後、通路の土が濡れている時はキュウリに近づかないという鉄則を守るだけでも、致命的な病気を防ぐための非常に高度な予防になりますよ。

キュウリの挿し木についての総括

ここまで、キュウリの挿し木に関する様々な知識やテクニックをお伝えしてきました。最後に、この栽培方法の素晴らしいメリットと、知っておくべき少し大変な部分についてまとめておきますね。

挿し木技術の最大の恩恵は、育苗にかかる時間とコストを大幅にカットできることです。種から育てると1ヶ月かかるところ、水挿しなら2〜3週間で植え付けサイズになります。

さらに、ホームセンターで1本数百円もするような接ぎ木苗を何度も買い足さなくても、数本の親株から優良なクローン苗を無限に作れるのは、お財布にもとても優しいですよね。

そして何より素晴らしいのが、収穫時期を戦略的にズラすリレー栽培ができる点です。

キュウリは生育が早く、収穫のピークを迎えると毎日食べきれないほどの実をつけますが、その分体力を消耗して一気に樹勢が衰え、枯れてしまいます。しかし、親株が元気なうちに脇芽をとって挿し木苗を作っておけば、親株がバテてきた頃に、ちょうど挿し木苗が新しい収穫のピークを迎えるようにサイクルを作れるんです。

これで、夏から秋まで途切れることなくキュウリの収穫を楽しめますよ。秋に向けてのより具体的な栽培計画は、秋キュウリの育て方と時期!プランターや畑で長く収穫するコツも参考になりますよ。

一方で、デメリットというか大変な部分もあります。

一つは栽培管理の手間です。挿し木苗は親株の性質を引き継いでいるので、ものすごい勢いで新しいつる(側枝)を伸ばします。放っておくとジャングルのように過繁茂状態になってしまうので、つるをネットや支柱に結びつける誘引や、余分な芽を摘む摘心、風通しを良くするための葉かき(摘葉)といった作業が忙しくなります。

プランター栽培の方は、キュウリをプランターで育てる!支柱の選び方と倒れない立て方の記事も参考にして、しっかりとした骨組みを作っておきましょう。長期間収穫するなら、伸びすぎたつるを下にずらすつるおろしという技術も必要になってきます。

もう一つの課題は、肥料の消耗と奇形果の発生です。

次々と実をつけるため、土の中の窒素・リン酸・カリウムといった栄養素があっという間に減っていきます。キュウリは本当に肥料食いなので、追肥を少しでも怠ると草勢が落ちてしまいます。

栄養や水分が足りなくなると、葉っぱで作られた養分が実に届かず、曲がったキュウリ(曲がり果)や先端だけ太いキュウリ(尻太果)といった奇形果がたくさんできてしまいます。

また、着果の負担が限界を超えると挿し木由来の実は全体的に小ぶりになりやすいとも言われていますが、これは見方を変えれば大きくなりすぎず、手頃なサイズで使いやすいとも言えますね。

最初はペットボトルの中の繊細な環境で根を出し、その後は太陽の下のダイナミックな環境へ順化させていく。環境の変化をソフトランディングさせてあげることが、挿し木を大成功させる最大の鍵です。ぜひ、捨てるはずだった脇芽を使って、キュウリの無限収穫にチャレンジしてみてくださいね!

メモ

※記事内でご紹介した病害虫対策や農薬の使用、土壌改善に関する数値・データは、あくまで一般的な目安です。お住まいの地域の気候や栽培環境によって結果は異なります。最終的なご判断や農薬の適正使用については、必ず専門家にご相談いただくか、公式のガイドラインをご確認くださいね。

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