こんにちは。園芸の教科書運営者のめぐみです。
家庭菜園や畑で落花生を育てようと思ったとき、ふと疑問に思うのが土作りですよね。落花生の肥料は何がいいのだろうと、ホームセンターの園芸コーナーで色々なパッケージを前に立ち止まってしまった経験、ありませんか?
落花生は、土の中に実をつけるというちょっと変わった育ち方をする植物です。そのため、いつどのタイミングで肥料をあげるべきかという時期や、畑だけでなくプランターで育てる時のコツ、あるいは牛糞や鶏糞といった有機肥料を使うべきなのかなど、考え始めるとキリがありません。
特に、葉っぱばかりが茂って実がつかない、つるぼけや、殻を開けたら中身が空っぽという悲しい失敗は、多くの方が経験する悩みの種です。実はこれ、肥料の成分や石灰の使い方が大きく関係しているんです。最近では無肥料で育てる自然栽培に興味を持つ方も増えていますが、それにも前作との相性など知っておくべきポイントがあります。
この記事では、落花生がどんな栄養を欲しがっているのか、おすすめの肥料の配合や追肥のやり方まで、私の経験も交えながら分かりやすく解説していきますね。落花生が喜ぶ土の環境を一緒に作って、秋にはホクホクで甘い、美味しい落花生をたくさん収穫しましょう。
ポイント
- 落花生ならではの特殊な育ち方と必要な栄養素のバランスがわかる
- つるぼけや空っぽの殻を防ぐための具体的な肥料選びができる
- 畑の土質やプランターなど環境に合わせた肥料の与え方がわかる
- 収穫のサインを見極め美味しいピーナッツを作る方法がわかる
落花生の肥料は何がいい?成分と選び方を解説

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落花生の栽培をスタートさせる上で、一番の肝になるのが肥料の選び方と土作りです。普通のトマトやキュウリ、あるいは葉物野菜を育てる時と同じ感覚で肥料をたっぷりとあげてしまうと、落花生はびっくりして本来の育ち方ができなくなってしまいます。
落花生の肥料は何がいいのかなと悩んだら、まずは落花生という植物がどうやって栄養を取り込み、どうやって土の中で実をつけるのか、その不思議なメカニズムを知ることが一番の近道かなと思います。
この章では、落花生が持っている特殊な能力のお話から、窒素・リン酸・カリウムといった三大栄養素、そして絶対に欠かせないカルシウム(石灰)の役割について、一つひとつ丁寧にお伝えしていきますね。これを読むと、ホームセンターに並んでいるたくさんの肥料の中から、迷わずに最適なものを選べるようになりますよ。
落花生に肥料は必要?生理特性の秘密
野菜づくりをしていると、肥料はたくさんあげた方が大きく育つ!と思いがちですよね。でも、落花生に関してはちょっと事情が違うんです。
そもそも落花生はマメ科の植物なのですが、同じマメ科の枝豆を育てる時と同様に、マメ科特有の根粒菌(こんりゅうきん)という強い味方が根っこに住み着いています。落花生の根をよく見てみると、小さなコブのようなものがポコポコとついているのを見たことがありませんか?それが根粒菌のマンションのようなものです。
根粒菌との素晴らしい共生関係
この根粒菌、実はすごい能力を持っています。
空気中にはたくさんの窒素ガスが存在しているのですが、普通の植物はそれをそのまま吸い込むことはできません。でも、根粒菌は空気中の窒素を取り込んで、植物が使いやすいアンモニア態窒素という栄養の形に変えて、落花生にプレゼントしてくれるんです。
落花生は、自分が光合成で作った美味しい糖分を根粒菌に分けてあげる代わりに、根粒菌から窒素をもらうという、お互いに助け合う共生関係を築いています。
地中結実性という変わった性質
もう一つの大きな特徴が地中結実性(ちちゅうけつじつせい)です。
落花生は、地上で可愛らしい黄色い花を咲かせた後、その花の付け根から子房柄(しぼうへい)という管みたいなものを下に向かってスーッと伸ばします。そして、それが土の中にズブッと潜り込んで、土の中でピーナッツの殻と実を作るんです。

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ポイント
・落花生は根粒菌から窒素をもらえるので、自給自足が得意。
・花が咲いた後、土の中に潜って実をつける特殊な性質がある。
・つまり、一般的な野菜と同じように肥料をあげてはいけないのが基本ルールです。
このように、落花生は自分で栄養を作り出す力を持っているため、肥料の考え方が他の野菜とは根本的に異なります。落花生の肥料は何がいいかを考えるときは、この自立心を邪魔しないようにサポートしてあげる、というスタンスが大切になってきます。
つるぼけを防ぐ!窒素控えめが鉄則
落花生の栽培で一番多い失敗、それがつるぼけです。葉っぱや茎ばかりがジャングルのようにワサワサと茂って、肝心の花が咲かなかったり、実が少なかったりする現象ですね。
このつるぼけの最大の原因は、ズバリ窒素肥料のあげすぎなんです。

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なぜ窒素が多いとダメなの?
先ほどお伝えしたように、落花生の根っこには窒素を作ってくれる根粒菌がいます。もし私たちが、良かれと思って窒素成分たっぷりの肥料を土に混ぜてしまうと、どうなるでしょうか。
落花生は、あ、土の中に栄養がいっぱいある!わざわざエネルギーを使って根粒菌にお願いしなくてもいいやと怠けてしまい、根粒菌の働きがストップしてしまいます。そして、土の中の余分な窒素をガブガブと吸い上げてしまうんです。
栄養成長と生殖成長のバランス
植物には、葉や茎を大きくする栄養成長と、花を咲かせて実を残す生殖成長という2つのモードがあります。窒素が多すぎると、植物は栄養成長のモードが暴走してしまい、いつまで経っても実をつける準備をしてくれません。
千葉県などの落花生の有名な産地でも、プロの農家さんたちが使う窒素肥料の量は、10アール(1,000平方メートル)あたりわずか3kg程度と、驚くほど少なく設定されています(出典:千葉県『落花生栽培の手引』)。家庭菜園レベルに直すと、本当にほんの少しで十分なんですね。
注意ポイント
万が一、育ちすぎてつるぼけかも?と思ったら、主枝(一番太い茎)が9節目くらいまで伸びたところで、先端をハサミでチョキンと切る摘心(てきしん)というテクニックもあります。これをすると、上に伸びるエネルギーが抑えられて、花や実をつける方にパワーが回るようになります。風通しも良くなって一石二鳥ですよ。
実を太らせるリン酸とカリウムの役割
窒素はぐっと控える必要がある落花生ですが、その代わりにしっかり効かせてあげたいのがリン酸(P)とカリウム(K)です。
エネルギーの源になるリン酸
リン酸は、植物にとってのエネルギー源(ATP)を作るために欠かせない成分です。落花生の場合、初期の根っこをしっかり張らせるためにも必要ですし、何より花をたくさん咲かせるために大活躍してくれます。
花がたくさん咲けば、その分だけ土に潜る子房柄の数も増えるので、収穫量に直結します。リン酸が不足してしまうと、開花の時期が遅れてしまって、秋に実が熟すのが間に合わなくなってしまうこともあるんです。
丈夫に育てて実を詰まらせるカリウム
一方のカリウムは、植物の体の中の水分を調整したり、根っこを丈夫にしたりする働きがあります。土の中で育つジャガイモの栽培などでも重視される成分で、根肥(ねごえ)なんて呼ばれることもありますよね。
落花生にとっては、葉っぱで光合成して作った甘い糖分を、地下で育っているピーナッツの莢(さや)へとせっせと運んでくれる運送屋さんのような役割を持っています。カリウムが十分に足りていると、株全体が引き締まって病気や夏の乾燥に強くなりますし、中身がパンパンに詰まった美味しい落花生に育ってくれます。
つまり、落花生の肥料選びの黄金ルールは窒素は極力少なく、リン酸とカリウムをしっかり効かせるということになります。このバランスを覚えておくだけで、肥料選びの失敗はグッと減るかなと思います。
空莢対策に必須!石灰の効果とタイミングは?

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さて、落花生を育てる上で、窒素と同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に気をつけなければいけない栄養素があります。それがカルシウム(石灰)です。
秋になってワクワクしながら落花生を掘り出し、殻を割ってみたら中身が空っぽだった…。この空莢(からさや)という悲劇の最大の原因は、カルシウム不足なんです。
落花生の不思議なカルシウム吸収ルート
ここが落花生の本当に面白いところなんですが、土の中で育つ落花生の莢(殻)は、株の根っこから吸い上げられたカルシウムをもらって大きくなるわけではありません。
普通の植物なら、根から吸った水と一緒にカルシウムが全身に運ばれます。でも、土の中にある落花生の莢からは水分が蒸発(蒸散)しないため、根っこからの水流が届きにくいんです。
ではどうしているかというと、地中にある子房柄の先端や、莢の表面から直接、土の中のカルシウムを吸い込んでいるんです!これってすごくないですか?
石灰を効かせるタイミングが命
莢が自分で直接カルシウムを吸うということは、莢ができる浅い土の層にカルシウムがないと全く意味がないということです。いくら畑の深いところを土壌改良していても、地表から数センチのところにカルシウム成分がなければ、空莢になってしまいます。
土の酸度(pH)を整える作業は、紫陽花をピンク色に咲かせるための土作りなどでもお馴染みですよね。ですから、落花生のカルシウム(石灰)補給は、単に土の酸度(pH)を整えるだけでなく、実を太らせるための直接的な肥料(実肥)として考える必要があります。
| 石灰の種類 | 特徴と落花生への使い方 |
|---|---|
| 苦土石灰 (くどせっかい) |
マグネシウムも含んでいて効果が穏やか。種まきの2〜3週間前に土全体に混ぜ込んで土作りをするのに最適です。 |
| 消石灰 (しょうせっかい) |
アルカリ分が強く即効性があります。肥料と混ぜるとガスが出やすいので、土作りの時は期間をしっかり空ける注意が必要です。 |
| 過リン酸石灰 (かせき) |
水に溶けやすいリン酸とカルシウムを同時に補給できる優れもの。開花時期の追肥として株元にまくと、実がぐんぐん太ります。 |
特に、花が咲いて子房柄が伸びてくるタイミングで、株元にパラパラと苦土石灰などを追肥としてまいてから土を寄せてあげるのが、プロも実践している空莢を防ぐコツですよ。
おすすめはどれ?化成肥料と専用肥料
栄養素の働きがわかったところで、実際にお店に行ったときに落花生の肥料は何がいいのか、具体的な肥料の選び方を見ていきましょう。
肥料のパッケージには必ずN-P-Kという数字が書いてありますよね。これが窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の配合割合を表しています。
一番のおすすめは「マメ科・落花生専用肥料」
もしお店で見つけられたら、一番安心で手軽なのがマメ類・落花生専用肥料として売られているものです。
これらは配合の数字を見ると3-10-10や5-10-10のようになっています。先ほどのルール通り、窒素が極端に少なく、リン酸とカリウムがたっぷり入っているので、何も考えずに規定量を使うだけで、落花生にとって理想的な栄養バランスを作ってくれます。
汎用的な「8-8-8」を使う場合の注意
家庭菜園でよく使われる、安くて万能な化成肥料に8-8-8がありますよね。家に余っているからこれを使いたいという方も多いと思います。
もちろん使っても大丈夫ですが、少し計算と注意が必要です。8-8-8は、落花生にとっては窒素が多すぎます。もし専用肥料(3-10-10など)と同じ量をドサッとあげてしまうと、窒素過多でつるぼけ街道まっしぐらになってしまいます。

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ポイント
高度化成肥料は避けた方が無難
逆に、14-14-14などの数字が大きな高度化成肥料は、落花生には強すぎるのでおすすめしません。少し使っただけでも窒素が効きすぎてしまい、コントロールが非常に難しくなります。
もし開花時期に追肥をしたい場合は、0-10-10といった窒素が全く入っていないリン・カリ肥料を使うと、純粋に実を太らせるサポートだけができるのでとても優秀です。
牛糞や鶏糞など有機肥料を使う時の注意点は?
できれば化学肥料ではなく、有機肥料を使ってふかふかの土で育てたいという方もいらっしゃいますよね。落花生は土の中に子房柄を潜り込ませるので、土が柔らかいことはものすごく重要です。その点では、有機堆肥を使うのは大正解です。
ただし、動物のふんを原料にした堆肥は、種類によって特徴が全然違うので、選び方を間違えると大変なことになります。
牛ふん堆肥:土作りの主役
落花生の土作りに最も向いているのが牛ふん堆肥です。
牛ふんは、肥料としての栄養分(N-P-K)はそれほど高くありませんが、繊維質をたっぷり含んでいるので、土に混ぜると空気の通り道ができ、フカフカで水はけの良い理想的なベッドを作ってくれます。種まきの数週間前に、1平方メートルあたり2〜3kgをしっかり深く耕して混ぜ込んでおくのがおすすめです。
鶏ふん堆肥:パワフルすぎる諸刃の剣
一方で、安価で栄養満点なのが鶏ふん堆肥です。カルシウムやリン酸が豊富なので、実を太らせる効果は抜群なんですが、落花生にとっては少し危険な資材でもあります。
なぜかというと、鶏ふんは窒素の含有量も多く、土の中で素早く効いてしまうからです。落花生に大量に使ってしまうと、すぐにつるぼけを起こしてしまいます。もし鶏ふんを使うなら、元肥として1平方メートルあたり100g以下という、ほんのパラパラ程度の量に厳しく制限する必要があります。
絶対に守るべき完熟のルール
そして、牛ふん・鶏ふん・豚ふんに共通して絶対に守らなければならないのが、完全に発酵が終わった完熟堆肥を選ぶということです。
発酵が不十分な未熟な堆肥を土に入れると、土の中で発酵が進むときにガスが出て落花生の根を傷めてしまいます。さらに怖いのが匂いです。未熟な堆肥の独特の匂いに誘われて、コガネムシなどの成虫が飛んできて土に卵を産みます。
そこからかえった幼虫は、地中で育っている大切な落花生の莢をボリボリと食い荒らしてしまうんです!秋に収穫したら殻に穴が開いていて中身がない…なんて悲惨なことにならないよう、堆肥は匂いが少なく、黒っぽくてサラサラした完熟のものを選んでくださいね。
落花生の肥料は何がいい?環境別の栽培テクニック

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ここまでは、落花生に必要な肥料の基本や選び方についてお話ししてきました。でも、実際に栽培を始めてみると、うちは畑じゃなくてプランターなんだけど、どうすればいいの?、追肥のタイミングが難しくて…、火山灰の土だと肥料が効かないって本当?など、環境によってさまざまな疑問や壁にぶつかると思います。
落花生は生命力が強い植物ですが、ちょっとした栽培のコツを知っているかどうかで、収穫できるピーナッツの量や甘さが劇的に変わってきます。
この章では、落花生の肥料は何がいいか迷った時に役立つ、実践的なテクニックをご紹介します。
プランターならではの水やりと肥料の関係、収量を左右する土寄せの魔法、そして地域特有の土壌問題や、話題の無肥料栽培のポイントまで、ちょっと踏み込んだ内容を分かりやすく解説していきますね。あなたの栽培環境に合わせて、ぜひ取り入れてみてください。
プランター栽培での肥料のやり方とコツは?
お庭のスペースがなくても、ベランダで落花生を育てることは十分に可能です。プランターで育てると、土の中の様子が想像しやすくて楽しいですよね。
ただ、プランター栽培には露地栽培(畑)とは違った難しさがあります。一番の課題は、土の量が限られていることと、毎日の水やりで肥料成分が流れ出てしまうことです。
まずは土選びとプランターのサイズ
落花生は下に根を張り、さらに子房柄が潜るためのスペースが必要です。そのため、深さが30cm以上、幅が65cm以上ある大型のプランターを選ぶのが大前提となります。
土については、ホームセンターで売られている野菜用の培養土を使うのが一番簡単で失敗がありません。最初から必要な肥料成分や石灰がバランス良く配合されているので、植え付け時の元肥を入れる必要がありません。
もし、古い土を再利用する場合は注意が必要です。土が酸性に傾いて栄養もすっからかんになっていることが多いので、必ず植え付け前に苦土石灰と、腐葉土などを混ぜて土をリセットしておいてくださいね。
液肥(液体肥料)の賢い活用法
プランター栽培で「落花生の肥料は何がいい」と考えた時、強い味方になるのが液体肥料(液肥)です。
固形の肥料を一度にたくさんあげてしまうと、狭いプランターの中では濃度が高くなりすぎて根が傷んでしまいます。また、水やりのたびに少しずつ鉢底から肥料分が流れ出てしまうので、長期戦になる落花生栽培では途中で栄養切れになりやすいんです。
ポイント
プランターならではの「増し土」
落花生には土寄せという作業が必須ですが、プランターの中では周りから土を寄せるスペースがありません。そこで行うのが増し土(ましづち)です。
花が咲いて子房柄が伸びてきたら、市販の培養土を株元にたっぷりドサッと追加して、子房柄が潜りやすく、かつ光が当たらない暗い場所を作ってあげます。この増し土のタイミングで、プランターの縁の方にパラパラっと有機化成肥料を少量(5〜10gくらい)追肥しておくのも、実を太らせるコツですよ。
追肥の時期は?土寄せとセットで行う理由
畑での落花生栽培において、収穫量を決定づける一番の大仕事が追肥と土寄せ(中耕)です。この作業のタイミングを間違えると、収穫量が2〜3割も減ってしまうと言われるほど重要なんです。

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1回目の追肥と土寄せ:開花始めがサイン
種まきから約1ヶ月後、初夏を迎えて可愛らしい黄色い花が咲き始めたら、いよいよ出番です。
もし雑草よけや保温のために黒いマルチシートを張っている場合は、子房柄が土に潜る邪魔になってしまうので、このタイミングでマルチを完全に剥がすか、株の周りを大きく切り開いてください。
そして、株の周りに1回目の追肥を行います。肥料はもちろん、窒素を含まないリン・カリ肥料(0-10-10など)を選び、1平方メートルあたり20〜30gほど軽くまきます。※もし葉っぱが濃い緑色でジャングルのように元気すぎる場合は、つるぼけの危険があるので追肥はパス(無追肥)してください。
ここで裏技!この追肥と一緒に、株元に苦土石灰や消石灰を少し(1平方メートルあたり40〜50g程度)まいておきましょう。これが、前に説明した空莢を防ぐための、莢への直接的なカルシウム補給になります。
肥料と石灰をまいたら、クワなどを使って畝(うね)の周りの土を軽く耕してほぐし、株元に向かってふんわりと土を寄せます。土を柔らかくすることで、子房柄がスッと土に潜れるフカフカのベッドが完成します。
2回目の土寄せ:開花から15〜20日後
1回目の土寄せから2〜3週間経つと、花が終わったところから子房柄が何本も下に向かって伸びて、土に突き刺さっている様子が見えるはずです。
この時期に2回目の土寄せを行います。この段階ではもう栄養は十分なので、追肥は一切行いません。作業の目的は、完全に土のお布団をかぶせることです。
すでに潜り始めている子房柄をハサミやクワで切ってしまわないように、優しく慎重に、周りの柔らかい土を株元に寄せ集めます。もし土寄せが足りなくて、土から莢が顔を出してしまうと、日光に当たって皮が緑色になり、カチカチに硬くなってしまうので注意してくださいね。
黒ボク土での栽培とリン酸不足への対策
日本の有名な落花生の産地といえば、千葉県の八街市や静岡県の富士宮市などがありますよね。実はこれらの地域には共通点があります。それが、火山灰からできた黒ボク土(くろぼくど)という土壌が広がっていることです。
黒ボク土は落花生に最高の環境だけど…
黒ボク土は、長年植物が分解されてできた腐植をたっぷり含んでいて、土が黒っぽく、触るとホクホク(ボクボク)としています。とても軽くて空気をよく含むので、落花生の子房柄がスッと潜りやすく、物理的には落花生栽培にとってこれ以上ないくらい最高のベッドなんです。
最大の弱点:リン酸を隠してしまう魔法
しかし、黒ボク土には目に見えない厄介な性質があります。それは強いリン酸固定力です。
黒ボク土の中には、アルミニウムや鉄の成分が活発な状態でたくさん潜んでいます。私たちが「落花生の花をたくさん咲かせよう!」とリン酸の肥料をまいた途端、このアルミニウムたちがリン酸とガッチリと手を結んでしまい、水に溶けないカチカチの塊(リン酸アルミニウムなど)に変えてしまうんです。
こうなると、せっかく肥料をあげたのに、落花生の根っこはリン酸を吸い上げることができず、栄養不足になってしまいます。
黒ボク土での肥料選びのコツ
もしあなたの畑が黒くてホクホクした黒ボク土なら、「落花生の肥料は何がいい」の答えに、少し工夫が必要です。
- リン酸の量を多めにする: 土のアルミニウムがお腹いっぱいになってリン酸を捕まえきれなくなるまで、標準よりも少し多めにリン酸肥料をあげるという力技です。
- く溶性リン酸を選ぶ: 水にサッと溶ける水溶性のリン酸はすぐに捕まってしまうので、植物の根っこから出る酸(クエン酸など)に触れて初めてジワジワと溶け出すく溶性リン酸(熔成リン肥など)が含まれた肥料を選ぶのが賢い方法です。
- 堆肥(腐植酸)を味方にする: 牛ふん堆肥などの有機物を一緒に混ぜておくと、堆肥の中の成分が先にアルミニウムと結びついてくれるので、後から入れたリン酸が捕まらずに済むというマスキング効果が期待できます。
地域特有の土の性格を知って対策することで、収穫量は見違えるようにアップしますよ。
無肥料で育てる?自然栽培と輪作の相性
最近は、化学肥料や農薬を使わずに、できるだけ自然の力だけで野菜を育てたいという自然栽培に挑戦する方も増えていますよね。
肥料がないと育たないのでは?と思うかもしれませんが、実は落花生は、無肥料栽培にものすごく向いている植物なんです。
根粒菌の力で痩せた土地でも育つ
これまで何度も登場した根粒菌のおかげで、落花生は自分で空気中の窒素を肥料に変えることができます。そのため、肥料分がすっかり抜けてしまった痩せた土地や、新しく開拓したばかりの畑でも、自生に近い形でたくましく育ってくれるという驚きのポテンシャルを持っています。

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前作の「残りカス(残効)」に要注意!
無肥料で落花生を育てる時に、一番気をつけなければいけないのが前にその場所で何を育てていたか(前作履歴)です。
例えば、春にトマトやナス、キャベツといった肥料をたくさん食べる野菜を育てていた場所には、土の中にまだ吸収されなかった窒素やミネラルがたっぷり残っています。これを残効と言います。
こんな栄養たっぷりの場所で落花生を「無肥料だ!」と思って育てると、落花生は土に残っている窒素をガブガブと飲んでしまい、結果的に大つるぼけを起こしてしまいます。
つまり、野菜を作った後の畑で落花生を育てる場合は、無肥料(肥料ゼロ)にするのがむしろ正解、ということになるんです。
輪作(りんさく)で畑全体を元気に
無肥料栽培や有機栽培を成功させるカギは輪作体系にあります。同じ場所で同じ科の植物を続けて育てると連作障害が起きるので、落花生(マメ科)も一度育てたら2〜3年は別の場所で育てる必要があります。
面白いのは、落花生を収穫した後の土は、根粒菌が残してくれた窒素のおかげで、とても肥沃になっているということです。
なので、落花生の次に、窒素が大好きな小松菜や白菜などの葉物野菜を植えたり、来年の春にトマトを植えたりすると、少ない肥料ですくすくと育つという素晴らしいリレーが完成します。
メモ

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落花生の肥料は何がいい?についての総括
いかがでしたでしょうか。ここまで落花生の不思議な生態と、それに合わせた肥料の考え方について詳しく見てきました。落花生の肥料は何がいい?という疑問に対する答えは、普通の野菜とは全く違うアプローチが必要だということがお分かりいただけたかと思います。
最後に、落花生栽培を成功させるための考え方をまとめておきますね。
足し算ではなく引き算の施肥を
普通の野菜作りが足りない栄養をいかに足してあげるかだとすれば、落花生作りは落花生の自立心を邪魔する要素をいかに引くかという引き算の思考が大切です。
根粒菌の力を最大限に引き出すために、化成肥料を使うにしても窒素成分は極限まで削ぎ落とし(3-10-10などがおすすめ)、前の野菜の残り肥料もしっかり計算に入れます。
そして、窒素を抑えた分、花を咲かせるためのリン酸と、実を詰まらせるカリウムでしっかりとサポートしてあげます。
ピンポイントでのカルシウムと水分補給
そして忘れてはいけないのが、空莢を防ぐためのカルシウム(石灰)対策です。深い土ではなく、莢が育つ浅い地表付近に、土寄せのタイミングで局所的に石灰を効かせること。これが決定打になります。
さらに、夏の結莢期(7月下旬〜8月中旬)に雨が降らず土がカラカラに乾燥してしまうと、せっかくまいたカルシウムが水に溶けず、莢が吸収できなくなってしまいます。「カラカラだな」と思ったら、ためらわずにたっぷりとお水をあげて、命の水を届けてあげてくださいね。
収穫のサインを見逃さずに
10月になり、下葉が黄色く枯れ落ちてきたら収穫のサインです。端っこの1株を試し掘りしてみて、莢にクッキリとした網目模様が浮き出ていれば大成功です!
掘り立ての生の落花生を塩茹でにすると、ホクホクとした栗のような極上の甘さが楽しめます。保存用にピーナッツにする場合は、掘り上げた株を畑で天日干し(地干し)し、じっくり時間をかけて乾燥させることで、さらに甘みとコクが増していきますよ。
肥料の袋に書いてある数字の意味を少し意識して、フカフカの土と適切な土寄せを用意してあげるだけで、落花生は驚くほど素直に育ってくれます。「落花生の肥料は何がいいんだろう?」と迷った時は、ぜひこの記事を読み返して、植物の声に耳を傾けてみてください。
秋の豊かな収穫を、心から応援しています!
※この記事で紹介している肥料の量や効果は、あくまで一般的な目安となります。実際の土壌環境や気象条件によって生育状況は異なりますので、肥料メーカーの公式サイトの指示に従い、最終的な栽培管理はご自身の判断で行ってくださいね。
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