こんにちは。園芸の教科書運営者のめぐみです。
さといもを育てていると、どのタイミングでどんな肥料をあげればいいのか、迷ってしまうことってありませんか。たくさんある市販の肥料の中からご自身の畑に合うおすすめのものを知りたいという方や、手軽な鶏糞を使っても大丈夫なのか気になっている方も多いと思います。
また、葉っぱばかりが茂って肝心のイモが育たないつるぼけと呼ばれる窒素過多のトラブルや、追肥はいつまで必要なのかなど、さといも肥料に関する悩みは尽きないですよね。
最近では、面倒な作業を減らせる一発肥料という便利なものも注目を集めています。この記事では、大きなさといもを失敗なくたっぷりと収穫するために知っておきたい施肥のノウハウを、初心者の方にもわかりやすくまとめました。
これを読めば、あなたの畑でもきっと、ねっとりとして美味しい立派なさといもが育つはずです。
この記事でわかること
- さといもに適した市販肥料の選び方とおすすめの配合
- 元肥や追肥における牛糞と鶏糞の正しい使い分け方
- つるぼけを防ぐための肥料管理と水やりの重要性
- 追肥のタイミングと省力化に役立つ一発肥料の仕組み
さといもの肥料の選び方と適切な与え方は?

園芸の教科書・イメージ
さといもの栽培において、水と肥料が命と言われるほど、生育期間を通じた栄養と水分の管理はとても大切です。
でも、ただ闇雲に栄養をあげればいいというわけではないんですよね。間違った種類を選んでしまったり、与えるタイミングや量がズレてしまうと、せっかくのお世話が逆効果になってしまうことも少なくありません。
ここでは、さといもにとって本当に必要な成分のバランスや、ご家庭の菜園でも使いやすいおすすめの市販品、そして元気な株を育てるための元肥と追肥の基本的な考え方について詳しく見ていきましょう。これを読めば、あなたの畑にぴったりの方法が必ず見つかるはずですよ。
さといもにおすすめの市販肥料と配合比率は?
さといもは、数ある野菜の中でも非常に長期間(およそ5〜6ヶ月間)にわたって畑で育つ作物です。そのため、植物の生育に欠かせない三大要素である窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)を、途切れることなくバランス良く吸収させることが豊作の鍵になります。
商業的な栽培では、10アールあたり窒素20~30kg、リン酸15~20kg、カリウム20~30kgが標準的な施肥量とされています(出典:埼玉県農業技術研究センター『水田におけるサトイモ栽培マニュアル』)。
これは一般的な根菜類と比べても、さといもが非常に肥料を好む(吸肥力が強い)作物であることを示しています。だからといって、植え付け時に全量をドサッと入れてしまうのはNGですよ。
初心者に扱いやすい配合比率とは?
市販の化成肥料を選ぶ際、パッケージに8-8-8や10-5-5といった数字が書かれているのを見たことがあるかと思います。これは左から順に、窒素、リン酸、カリウムの配合割合を示しています。
さといもの追肥として最も汎用的で初心者の方にもおすすめなのは、成分が均等に配合された8-8-8(普通化成)です。バランスが良く、どんな土壌でも安定して効果を発揮してくれます。
注意ポイント

園芸の教科書・イメージ
収量と品質をアップさせる市販肥料の選び方
さといもの塊茎(イモの部分)を大きく育てるためには、デンプンの蓄積を促すカリウムの働きが欠かせません。市販されている肥料の中でも、特にさといも栽培において評価の高いものをいくつかご紹介しますね。
- ぼかし完熟有機100%肥料(例:サンアンドホープなど)
油かす、魚粉、米ぬかなどを微生物発酵させた有機肥料です。元肥として使うことで、土の保肥力を高めながら長期間じわじわと効き、初期の丈夫な根張りをしっかりサポートしてくれます。 - ジャガイモ・イモ類の肥料(例:東商など)
アミノ酸を豊富に含む有機質ベースの肥料です。土壌の有用な微生物を元気にして、さといも特有のねっとりとした粘りとコクのある旨味を引き出してくれます。 - サツマイモ専用肥料(例:アミノール化学研究所など)
実はさといもにもすごく使いやすいんです。草木灰という天然のカリウム源が主成分で、微量要素もたっぷり含まれているため、イモの肥大促進にぴったりです。 - 天然植物活力液 HB-101(フローラ)
こちらは肥料というより補助的な活力液ですが、猛暑や乾燥でさといもの元気がなくなった時に、1000倍に薄めて葉っぱにかけたり水やりに混ぜたりすると、一時的に代謝をブーストしてくれる心強い味方です。
プロの農家さんになると、追肥のタイミングで硫酸加里やケイ酸加里といった単一成分の肥料をプラスして、イモの細胞壁を強くし、収穫後の日持ちを良くするような工夫もされています。まずはバランス型の肥料をベースに、カリウムを意識した施肥設計を心がけてみてくださいね。
元肥としての牛糞と鶏糞の正しい使い分け
さといもを植え付ける前の土づくりは、その後の生育を決定づける最重要イベントと言っても過言ではありません。
さといもの根は、フカフカで水もちが良い土を好みます。極度の乾燥は嫌うのに、水はけが悪くて水浸しの状態が続くと疫病や根腐れを起こしてしまうという、ちょっとワガママな性質があるんです。
そのため、植え付けの数週間前から土づくりを行います。さといもが好む土壌酸度(pH)は5.5〜6.5の弱酸性から中性です。植え付けの2〜4週間前には苦土石灰をまいてpHを調整し、同時に堆肥をすき込んでふかふかの土を作ります。
ここでよく疑問に上がるのが、牛糞と鶏糞のどちらを元肥にすべきかという問題です。実はこれ、目的によって明確に使い分ける必要があるんですよ。
| 堆肥・有機肥料の種類 | さといも栽培での適性と効果 | 注意すべきポイント |
|---|---|---|
| 完熟牛糞堆肥 | 繊維質が豊富で土をフカフカ(団粒構造)にし、通気性と保水性を劇的にアップさせます。元肥の主役です。 | 肥料としての養分(窒素やリン酸)はマイルドなので、これで初期の成長を加速させるような即効性は期待できません。 |
| 発酵鶏糞 | 窒素・リン酸・カリウムが豊富(例: 4-6-4など)で、すぐに効果が出ます。生育中期の追肥として非常に優秀です。 | アルカリ性のため多用すると土壌pHが上がります。未熟なものはガスが出て根を傷める原因になります。 |
| 腐葉土・バーク堆肥 | 植物由来で保水力と肥料を留めておく力(CEC)を高め、雨で成分が流れるのを防ぎます。 | 炭素の割合が高いため、未熟なものを直前に混ぜると窒素飢餓を起こして土の栄養が一時的に不足することがあります。 |
つまり、土の物理的な環境を良くしてフカフカのベッドを作るなら牛糞堆肥、化学的な栄養分を直接与えるなら鶏糞という使い分けが正解です。
さといもの元肥としては、牛糞堆肥をたっぷり使ってふかふかの土台を作り、栄養分は化成肥料や後からの追肥で補うというスタイルが最も失敗が少ないかなと思います。
鶏糞を使うメリットと肥料焼けへの注意点は?
前の項目で鶏糞は追肥として優秀とお伝えしました。ホームセンターなどでも非常に安価で手に入り、コストパフォーマンスが抜群なため、愛用している方も多いですよね。
しかし、さといも栽培において鶏糞は使い方を間違えると甚大な被害をもたらす両刃の剣でもあります。鶏糞を使ったら生育が悪くなったというご相談をいただくことも少なくありません。
鶏糞のリスク1:急激なアルカリ化による吸収障害
鶏糞には、ニワトリの飼料に由来するカルシウム(石灰分)が大量に含まれています。これを元肥としてドサッと土に入れてしまうと、土壌が急激にアルカリ性に傾いてしまいます。
さといもは弱酸性を好むため、土がアルカリ性になると、鉄分やマンガン、ホウ素といった大切な微量要素が土の中で溶けにくくなり、根から吸収できなくなってしまいます。その結果、葉っぱが黄色くなるなどの生育障害を引き起こすことがあるんです。
鶏糞のリスク2:アンモニアガスによる肥料焼け
しっかりと発酵していない未熟な鶏糞を土に混ぜてすぐにさといもを植え付けると、土の中で分解が進む過程で強烈なアンモニアガスが発生します。
さといもの細くて繊細な根は、このガスに触れると焼けたように黒く傷んでしまい(これが肥料焼けです。肥料焼けのさらに詳しい原因や対策については、肥料焼けの原因と症状を解説!枯れる前の復活対策と予防法も参考にしてみてくださいね)、初期の成長が完全にストップしてしまう危険性があります。
メモ

園芸の教科書・イメージ
こうしたトラブルを防ぐため、鶏糞を追肥として使う場合は、必ず株元から少し離れた場所にまき、土寄せの際に土としっかり混ぜ合わせて表面に露出させないことが必須のテクニックになります。上手に使えば頼もしい肥料ですが、扱いには少しだけ注意してあげてくださいね。
成長段階に合わせた追肥と土寄せの時期
さといもは、植え付けた種イモから発芽し、最初のうちは種イモ自身の栄養を使って育ちます。そのため、元肥にたくさんの肥料を入れる必要はありません。理想的な割合は元肥1に対して追肥3または4。生育が盛んになる夏場にかけて、段階的に栄養を補給していく追肥主体型がベストな育て方です。
そして、追肥と同じくらい、いやそれ以上に大切なのが土寄せという作業です。さといもは、種イモの上に親イモができ、その周りや上に子イモ、さらに上に孫イモと、下から上に向かって重力に逆らうように育っていくちょっと変わった性質を持っています。
もし土寄せをさぼってイモが地面から顔を出してしまうと、日に当たったイモが緑色になり、品質が落ちるだけでなく、そこでイモの肥大がピタッと止まってしまうんです。だからこそ、追肥と土寄せは必ずセットで行うと覚えておきましょう。
| 栽培ステップ | 時期の目安 | 作業の内容と施肥量 | 作業の目的 |
|---|---|---|---|
| 植え付け | 4月下旬〜5月上旬 | 株間40〜50cm、深さ5〜10cmに種イモを植えます。 | 地温が15℃以上になってから植え、スムーズな発芽を促します。 |
| 1回目の追肥・土寄せ | 5月下旬〜6月上旬(発芽から約3週間) | 本葉が3〜5枚出た頃。1株あたり化成肥料を一握り(約20〜30g)まき、約5cm土を寄せます。 | 葉っぱを大きくして、光合成の工場をしっかりと作り上げます。 |
| 2回目の追肥・土寄せ | 7月上旬〜中旬(1回目の約1ヶ月後) | 草丈50〜60cmの頃。1回目と同量の肥料をまき、今度は約10cmとたっぷり土を寄せます。 | 子イモや孫イモの数を増やし、太らせるためのスペースを確保します。 |
| 敷き藁・マルチング | 2回目の土寄せ直後(梅雨明け前) | 株の周りに藁や刈った草を厚く敷き詰めます。 | 夏の強烈な直射日光から土を守り、水分の蒸発と地温の上がりすぎを防ぎます。 |
このように、成長のタイミングに合わせて栄養を与え、イモが育つための布団(土)を上へ上へとかぶせてあげることで、秋には驚くほど大きなさといもの株が収穫できるはずですよ。
省力化できる一発肥料の仕組みとメリットは?

園芸の教科書・イメージ
ここまで読んで、追肥と土寄せを何度もやるのは大変そう…と感じた方もいらっしゃるかもしれません。特に真夏の炎天下での土寄せや肥料まきは、家庭菜園でもかなりの重労働ですよね。
そこで最近、農業の現場でも家庭菜園でも急速に人気を集めているのが一発肥料(被覆肥料)です。
一発肥料ってどんな仕組み?
一発肥料は、その名の通り元肥として1回まくだけで収穫まで肥料効果が続くという魔法のようなアイテムです。秘密は、肥料の粒の周りをコーティングしている特殊な樹脂の膜にあります。
土の中にまかれた肥料は、まず土の水分を吸って膨らみます。その後、土の温度(地温)が高くなるのに比例して、目に見えないミクロの穴から少しずつ中の肥料成分が溶け出してくるように高度に設計されているんです。
さといも専用の一発肥料(例えばJA全農のさといも一発など(出典:JA全農『さといも一発』))は、さといもの成長リズムにぴったり合うように、溶け方の違う何種類もの粒がブレンドされています。
- ゆっくり効く窒素(90日リニア型):植え付け直後の初期はわざと溶け出しを抑え(つるぼけ防止)、その後90日間にわたって一定のペースでじわじわと窒素を補給し、葉の成長を支えます。
- 後から効くカリウム(60日シグモイド型):植えてから約60日間はほとんど溶けず、イモが急激に大きくなる夏場以降に爆発的にカリウムを供給してくれます。
環境にも優しくマルチ栽培との相性も抜群
一発肥料を使うと、追肥の手間がゼロになるだけでなく、様々なメリットがあります。
普通の肥料だと大雨が降った時に成分が地下に流れてしまいがちですが、一発肥料は植物が必要な分だけ溶け出すので、環境中への流出を約50%も減らせるという研究結果もあるんですよ。
また、植え付け時に黒いマルチフィルムを張ってしまうマルチ栽培の場合、途中でマルチを破って追肥をするのはとても面倒ですが、一発肥料ならその手間も省けます。最近では、プラスチックの殻が土に残らない微生物分解型のエコな一発肥料も登場しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
さといも肥料に関する失敗対策と栽培のコツは?

園芸の教科書・イメージ
前半では、肥料の選び方や基本の与え方、便利な一発肥料についてお伝えしました。ここからは、さといも栽培で多くの人が直面するトラブルの原因とその解決策、そしてさらに美味しいイモを育てるための奥深い栽培のコツについてお話ししていきますね。
特に、葉っぱばかりが茂ってイモが育たないつるぼけは、多くの方が経験する失敗のひとつです。また、肥料の効果を最大限に引き出すための水やりの鉄則や、あえて肥料を使わない自然栽培の魅力など、知っておくと周りに少し自慢できるような役立つノウハウもたっぷり詰め込みました。
最後まで読んで、秋の大収穫に向けてしっかり対策していきましょう。
窒素過多によるつるぼけの原因と予防策は?
立派な葉っぱが背丈を超えるほど青々と茂って、これは大豊作間違いない!と秋に掘り起こしてみたら、地下には細長いゴボウみたいな根っこしかなくて愕然とした…
実はこれ、さといも栽培において最もよくある失敗でつるぼけ(蔓化け)と呼ばれる生理障害なんです。
なぜこんな悲劇が起きるのでしょうか。植物生理学的に見ると、つるぼけは土の中の窒素成分が多すぎる状態(窒素過多)によって引き起こされます。
窒素は、植物の茎や葉を大きくする働きがあります。さといもは非常に肥料を吸う力が強いため、土の中に窒素がたっぷりあると、光合成で作った栄養分をもっと葉っぱを大きくしようと、新しい葉や茎にばかり投資し続けてしまうんです。
本来なら、夏以降はその栄養を地下のイモに回さなければならないのに、窒素が多すぎるとその切り替えスイッチが働かず、イモに栄養がいかなくなってしまいます。そして恐ろしいことに、一度つるぼけのサイクルに入ってしまうと、途中で軌道修正するのは非常に困難です。
つるぼけを防ぐには?
原因と対策を知っておけば、つるぼけは確実に防げます。
- 前作からの肥料の持ち越し(残肥)に注意:
さといもを植える前に、キャベツや白菜、ホウレンソウといった肥料をたくさん必要とする野菜を育てていませんでしたか?そうした畑には、土に吸収されなかった窒素がたっぷり残っています。残肥が疑われる場合は、思い切ってさといもの元肥をゼロ(無施肥)にしてスタートしましょう。冬の間にエンバクなどのイネ科の緑肥を育てて、余分な窒素を吸わせてリセットするのもプロのテクニックです。 - 元肥での過剰な窒素投与を控える:
早く大きくしたいからといって、元肥に鶏糞や化成肥料を大量に入れるのが一番の引き金です。元肥の窒素成分は1平方メートルあたりわずか2〜3g程度(一般的な化成肥料で一握り程度)に抑え、追肥でコントロールする戦略を徹底してくださいね。 - 土の過湿と物理性の改善:
土がカチカチに締まっていたり、水はけが悪すぎたりしても、根が正常に育たずにイモが細くなってしまいます。植え付け前に20cm以上深く耕して、牛糞堆肥でふかふかにしておきましょう。
肥料不足を知らせる葉のサインと対処法
ネットなどで調べているとさといもの追肥は2回までという情報と、3回目も必要という情報があって混乱したことはありませんか?
結論から言うと、8月上旬〜中旬頃の3回目の追肥は必須ではないです。実施するかどうかは、さといもの株が発しているサインをよく観察して決めるのが正解になります。
追肥が必要な肥料切れのサイン
次のような症状が見られたら、土の中の窒素やカリウムが足りなくなっている証拠です。古い葉の栄養を新しい葉に回そうとして、株全体が必死に頑張っている状態ですね。
- 新しく出てくる葉っぱが極端に小さい
- 葉っぱ全体の色が薄くなり、若草色や黄緑色に色抜けてきている
- 葉柄(茎のような部分)が細く、草丈が伸びなくなっている
- 下の方の古い葉っぱから順に、急激に黄色く枯れ上がってくる
このようなサインを見つけたら、速効性のある液肥を与えたり、少量の化成肥料を追肥したりして、早急に元気を回復させてあげましょう。

園芸の教科書・イメージ
注意ポイント

園芸の教科書・イメージ
肥料効果を高めるための水やりの重要性
ここまで肥料のお話を中心にしてきましたが、実はこの記事の中で最も強調しておきたい衝撃の事実があります。それは、どんなに完璧に肥料を計算して与えても、水が足りなければ肥料は1ミリも効果を発揮しないということです。
さといもは熱帯モンスーン気候の出身で、あの巨大な傘のような葉っぱからは、真夏の日中に驚くほどの水分が空気中へと蒸発(蒸散)しています。そして、土の中にまいた肥料は、土の中の水分に溶け込んでイオン化することで、初めてさといもの根っこから吸い上げられる仕組みになっています。
つまり、梅雨が明けて土がカラカラに乾いてしまうと、根っこは物理的に栄養を吸うことができなくなります。土の中には肥料がたっぷりあるのに、さといも自身はお腹ペコペコで喉もカラカラという状態になり、肥料不足と全く同じような葉のしおれや枯れを引き起こし、イモの肥大もストップしてしまうんです。
水やりの鉄則
葉っぱのツヤがなくなったり、日中にだらんと深刻にしおれたり、葉のフチがチリチリと枯れてきたりしたら、それは危険信号です。速やかにたっぷりとお水をあげてください。
ただし、真夏の炎天下での水やりは厳禁です。
熱い土に水をかけると、土の中で水がお湯のようになってしまい、さといもの繊細な根を茹でてしまいます。水やりは必ず、気温が下がった朝や夕方に、畝の間(通路)に水が溜まるくらい、土の深いところまで染み込むようにたっぷりと与えるのがコツですよ。
肥料不要の自然栽培によるメリットと課題は?

園芸の教科書・イメージ
最近は、健康志向や究極の美味しさを求めて肥料なしでのさといも栽培に興味を持つ方も増えていますね。
結論から言うと、長年落ち葉や堆肥を入れて地力(腐植)がしっかり高まっている豊かな土壌であれば、化学肥料や動物性の堆肥を一切使わなくても、立派なさといもを育てることは可能です。
無肥料栽培(自然栽培)の魅力
自然栽培の最大のメリットは、何と言ってもつるぼけや病害虫のリスクをほぼゼロに抑えられることです。人間が無理に窒素を与えないため、さといもの細胞が不自然に急激に太ることがありません。
その結果、身がギュッと緻密に締まり、さといも本来の濃厚な旨味と強い粘り気を持つ、本当に極上のイモが収穫できると、多くの愛好家から高く評価されているんですよ。
収量減を補う逆さ植えのテクニック
一方で、慣行栽培(普通の肥料を使う栽培)と比べると、どうしても収穫量が落ちやすいという明確なデメリットもあります。そこで、無肥料でも植物が持つ潜在的な生命力を極限まで引き出すための特殊なテクニックとして逆さ植えという方法が実践されることがあります。
これは、種イモの芽が出る方をあえて下に向けて植え付ける方法です。芽は地表に出るために、土の中でわざわざU字型に遠回りをして伸びていかなければなりません。
発芽に時間はかかりますが、その過酷な道のりを経ることで根張りが劇的に強靭になり、真夏の干ばつや病気に負けない、とてつもなく屈強な株へと育つメカニズムを利用したものです。少し上級者向けですが、興味がある方は試してみる価値ありかもしれません。
さといもの肥料についての総括

園芸の教科書・イメージ
いかがでしたでしょうか。さといもの肥料管理は、単に栄養を与えるだけでなく、土作りから水やり、そして植物のサインを読み取ることまで、本当に奥が深くて面白いですよね。
地域によっても独自の栽培環境に適応するための工夫が凝らされています。例えば、火山灰土が広がるような保水力と通気性を両立しやすい地域や、水源の豊かなエリアは、古くからさといも栽培の適地として知られています。伝統的な里芋産地では、特有のねっとり感が強い伝統的な品種が、その土地ならではの水や地力を活かして大切に受け継がれているんですよ。
また、そうした進んだ生産現場では、さといもの畝の間に麦の種をまくリビングマルチ(生きたマルチ)という環境に優しい栽培法も広く知られています。麦の根が土を乾燥から守り、さといもの葉が茂って日陰になると麦が自然に枯れて分解され、自前の肥料として土に還るという、植物の相乗効果を活かした素晴らしい技術です。
ご家庭の菜園でも、こうした植物の仕組みや肥料の働きを少し意識するだけで、収穫の喜びは何倍にも膨らみます。まずは今年の春、土づくりから肥料のバランスを見直して、最高に美味しいさといもの収穫を目指してみてくださいね!
ポイント